中川 明 弁護士著『寛容と人権』(岩波書店、2013年6月)について−子どもの権利と子どもたちの未来のために−

川 明 弁護士 著『寛容と人権』(岩波書店、2013年6月)について
−子どもの権利と子どもたちの未来のために

                                   2014年9月5日

 この本は、「国籍、子ども、教育、宗教、障害、国旗・国家・・・立憲主義の危機の時代に問う実践的人権論」であり、中川 明 先生の長年弁護士活動研究活動に裏付けられた、心打つ著作です。

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 「『寛容』という『生地』のうえに、『人権』という『柄』が組み合わされ織り成されて、真に実用的な織物となり、あるいは『寛容』を横糸にし『人権』を縦糸にして紡ぎ出されることによって、着用に耐えうる織物となりうる、と言い表してよいのではあるまいか。二つは、そのずれをも欠くことができず、二つの微妙な組み合わせと相互作用、互いに交叉し引き合い押し合う『緊張関係』の裡に、問題解決にあたっての実践的思考のありようと課題が示されているのである。」(「はしがき」より)

 中川 明 先生は、次のようにも書かれています
「弁護士として、私は、いくつかの『憲法訴訟』に携わった。それらを年代順にリストアップすると、次のようになる。
(1)麹町中・内申書裁判
(2)自衛官合祀拒否訴訟(「中谷裁判」)
(3)日曜日授業参観訴訟
(4)逗子池子・河川工事続行禁止訴訟
(5)アンデレ国籍確認訴訟
 これらの『憲法訴訟』のうち、(2)については最高裁の大法廷で、(5)については同第二小法廷で、それぞれ弁論を行った。最高裁で弁論する機会は滅多にないと言われているが、その稀有な体験を私は二度もすることができた。
   (中略)
 私がかかわった右の『憲法訴訟』は、いずれもまた、『人間を護る』ことを志した訴訟であった。・・・・
 2002年5月に再び弁護士に戻ってからも、私の『憲法訴訟』の歩みは続いた。その二つを記しておくこと
にする。
 (6)ピースリボン裁判
 (7)「もの言える自由」裁判・・・
 判例の形成を、連作小説(chain novel)に譬えたのは、アメリカの法学者R・ドゥオーキンである。・・・
 連作小説は裁判官の手によるだけでなく、研究者や弁護士たちとの共同作業によってなされるのである。・・・
 本書に、私がかかわった憲法訴訟において行った『弁論』や『準備書面』、具体的事件をめぐって書き上げた・・論考を収録して、同時代の人や後に続く人々の批判と検証に委ねようと試みたのも、右と同じような思いに突き動かされたからである。」(本書1頁〜7頁)



   【目次】
 はしがき
 序 わたしの携わった憲法訴訟と憲法演習−「弁護士から大学へ、そしてまた弁護士に[中]」より
寛容と人権についての序論的考察
  1 寛容と人権についての序曲−「宗教と子どもたち」を手がかりにして
  2 日本人の「同調的伝統」と人権感覚について
  3 国家象徴と寛容をめぐる司法の役割−「ピースリボン裁判」を通して
  補論1
国籍と人権
  1 問い直される「国籍」−幼い生命の訴え
  2 最高裁における弁論要旨(1994年12月16日)
  3 「国籍確認訴訟」の貴重な一歩
  4 国籍をめぐる子どもの権利と外国籍・無国籍の子どもの教育を受ける権利
  補論2
掘/教の自由と政教分離原則
  1 死者と私たちをつなぐもの−「中谷裁判」の原点と「靖国」についての断想
  2 最高裁大法廷における弁論要旨(1988年2月3日)
  3 逆立ちした「寛容論」−「自衛官合祀拒否訴訟」最高裁判決の問題点
  補論3
学校における生徒の基本的自由の尊重
  1 内申書裁判の控訴審判決とその問題点
  2 上告理由書(1982年8月12日)
  3 問われた教師の教育評価権−「内申書裁判」をふりかえって
  補論4
教育を受ける権利の中での就学義務と親の位置
  1 教育を受ける権利と「義務教育制度」−「就学義務」の再構成のこころみ
 2 「日曜日訴訟」の意義−「学校信仰」へのプロテスト
  3 学校・教師と親の関係の問い直し−教育のパラダイムの転換
  補論5
障害のある子の教育を受ける権利
  1 障害のある子どもの就学について-教育を受ける権利の問い直し
  2 障害のある子どもの教育を受ける権利について−インクルーシブ教育の憲法論的考察
  補論6
察[憲主義の危機と教育基本法の変質
  1 一法律家から見た教育基本法の「全部改正」問題
  2 教師の道具化の阻止と公教育における「寛容」の実現
補論7
 初出一覧
 あとがき



《 『寛容と人権』の出版祝う会について 》

 2013年10月15日(火)18:30〜20:40(於如水会館)、大型の台風26号が上陸するなか、中川 明弁護士『寛容と人権』の出版を祝う会に、約130人の方々が参集されました。

 発起人の方々は下記のとおりです。

  【 中川明弁護士の「寛容と人権」出版を祝う会・発起人(50音順) 】

  秋山 幹男  奥平 康弘  大谷 恭子  川村 明  京藤 哲久
  古賀 正義  崔 善愛      鈴木 五十三  出口 治男 中村 睦男
  三宅 弘      吉峯 康博  山川 洋一郎  横湯 園子  吉川 精一
  山田 由紀子  東澤 靖

 なんと、オープンの1時間半前には、松木ミナミさん(出身地【佐渡】の同級生〜小学校、中学校、高校、合計12年!)が早々と来られました。

 次に、古賀正義さん(弁護士、古賀総合法律事務所 所長)が来られました。

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   会場に一番で来た当職(吉峯康博)と古賀正義さん(古賀総合法律事務所 所長)



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【祝う会】が始まるのを待つ津田玄児さん(東弁、『子どもの人権研究会』代表世話人)と内田剛弘さん(第二東京)



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向かって左から、堀尾輝久さん(『子どもの人権研究会』代表世話人)、内山絢子さん(目白大学教授)、津田玄児さん(『子どもの人権研究会』代表世話人)




 オープンすると、下記の方々から、有意義かつ楽しい、お話が続きました。



1)オープニングセレモニー

【発起人代表挨拶】 奥平康弘さん(東京大学名誉教授)

【著書の紹介】    高見勝利さん(上智大学法科大学院教授)
             後述の、書評(1)を参照。

【乾杯】         川村 明 さん(弁護士、IBA前会長、京都大学法学部で、中川明弁護士と同期で、平場安治ゼミ・刑法でご一緒でした!)



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オープニング セレモニー発起人代表 奥平康弘さん(東大名誉教授)


2)祝辞(その1)

泉 徳治さん(元最高裁判所判事、弁護士)

横湯園子さん(北海道大学元教授、北海道子どもの虐待防止協会元会長、『子どもの人権研究会』代表世話人)

堀尾輝久さん(東大名誉教授、『子どもの人権研究会』代表世話人)



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《祝辞》をされる横湯園子さん(北海道大学元教授、北海道子どもの虐待防止協会元会長、『子どもの人権研究会』代表世話人)



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《祝辞》をされる堀尾輝久さん(東大名誉教授、『子どもの人権研究会』代表世話人)




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     祝辞を聴いている中川 明 弁護士



3)当事者からの祝辞

沢 知恵さん(日曜日授業参観訴訟原告、シンガーソングライター)
保坂展人さん(麹町中・内申書裁判原告、世田谷区長)



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《当事者からの祝辞》を述べられる 沢 知恵さん(日曜日授業参観訴訟原告、シンガーソングライター)


4)祝辞(その2)

坪井節子さん(弁護士、ピースリボン裁判代理人)
崔 善愛さん(ピアニスト、ピースリボン裁判等支援者)
佐藤幸治さん(京都大学名誉教授)
山田由紀子さん(弁護士、アンデレ国籍確認訴訟代理人)
大谷恭子さん(弁護士、障害児就学訴訟代理人)
京藤哲久さん(明治学院大学法科大学院教授)


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京都から来られ《祝辞》を話される佐藤幸治さん(京都大学名誉教授)




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祝辞を話された坪井節子さん(弁護士、ピースリボン裁判代理人、「カリヨン子どもセンター」理事長)と中川 明 弁護士




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     有意義な《祝辞》を聴いている会場の様子




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     《祝辞》を雄弁に話される、大谷恭子さん(弁護士、障害児就学訴訟代理人)


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《祝辞》最高裁で勝利したアンデレ国籍確認訴訟代理人の山田由紀子さん(日弁連子どもの権利委員会幹事)


5)参列者へのメッセージの紹介

中村睦男(北海道大学名誉教授)

中川明先生、大著『寛容と人権』の出版を心からお祝い申し上げます。

本書は、先に刊行されている『学校に市民社会の風を』を基盤に弁護士としての更なる憲法訴訟の実践と大学教授としての教育経験を踏まえて、先生の思索の一層の深まりを感じる名著であります。裁判を提起した当事者と真正面から向き合い、対話を重ねる中から、社会において少数者と見られている人間の権利のために静かに闘い、まさに人間を護るための人権理論を構築して来た成果が、『寛容と人権』に集大成されております。

中川先生と私との出会いは、私が1979年に内申書裁判東京地裁判決の判例批評を雑誌『ジュリスト』に発表した時に遡ります。その後の交流の中から1997年に北海道大学に先生を教授としてお招きでき、北海道大学での教育経験が本書の出版の基礎になっていることは、私の人生にとって大きな喜びであると同時に、誇りになっております。法科大学院の設置以前に、実務と学問との架橋を築かれたことの意義は大きいものと思います。大学人としての先生は、学生と正面から向き合って個性を伸ばすことに配慮し、人権理論とお人柄が一致する教授として、同僚からも高く評価されていました。

日本社会の実情は、先生の人権理論と実践を必要としております。これからもますますのご活躍を祈念しております。

                  北海道大学名誉教授  中村 睦男」


6)贈呈

書籍 『いま、子どもの人権を考える−いじめ、虐待・体罰、被害者、少年事件、家族
    (日本評論社 2013年10月、書評は、『自由と正義』2014年7月号94頁など)
    津田玄児(『子どもの人権研究会』代表世話人)
花束 佐藤美和子(ピースリボン裁判原告)
    池田幹子(もの言える自由裁判原告)


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《贈呈》なんとかぎりぎり間に合った見本の『いま、子どもの人権を考える−いじめ、虐待・体罰、被害者、少年事件、家族』(日本評論社、2013年10月、5500円+税)を中川 明 弁護士に贈呈している津田玄児さん(『子どもの人権研究会』代表世話人)


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          贈呈された《花束》と《書籍『いま、子どもの人権を考える』》



7)本人謝辞

謝辞】で、中川 明さんは「みなさんのお話しを聴いていると、『頭が真っ白に』になりました。謝辞の原稿を用意していますが、それは止めました!三点申し上げます。
一点は、『寛容と人権』で『何を書いたのか』ではなく、『何を書かなかったのか』が気になっています。
二点目は、『当事者と共に歩いて来たこと』です。
三点目は、今年の6月に亡くなられた清水英夫さんのことです。この本を先生に見せたかったです。清水英夫さんは、元日本評論社で、法律時報編集長や出版部長を務められ、その後青山学院大学法学部教授に転身、1987年には弁護士登録されました。」
との趣旨であったと思います。




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《謝辞》を述べている中川 明 弁護士




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謝辞を述べている中川 明 弁護士と中川和子さん


参集された方々は、
大沼和子さん(裁判官)
樫尾わかなさん(弁護士、第二東京弁護士会)
小瀬保郎先生(弁護士、元刑事裁判官、東京弁護士会)
海渡雄一さん(弁護士、日弁連前事務総長、第二東京弁護士会)
黒岩哲彦さん(弁護士、日弁連子どもの権利委員会元委員長、東京弁護士会)
須納瀬 学 さん(弁護士、日弁連子どもの権利委員会元事務局長、東京弁護士会)
東澤 靖 さん(日弁連国際人権問題委員会元委員長、第二東京弁護士会)
鈴木善和さん(日弁連元事務次長、東京弁護士会)
村山裕さん(日弁連子どもの権利委員会委員、東京弁護士会)
後藤弘子さん(千葉大学教授)
菅原由香さん(子どもの人権研究会)
杉多美保子さん(子どもの人権研究会、「学校における子どもの学習権とルール研究会」代表)
栗山博史さん(日弁連子どもの権利委員会委員、横浜弁護士会)
神田安積さん(司会、弁護士、第二東京弁護士会)
大田裕章さん(弁護士、北海道大学の教え子)
など約130人でした。




【中川 明 弁護士の略歴 】
1941年、生まれ
1964年、京都大学法学部卒業、1968年、同大学院法学研究科修士課程修了
1970年 弁護士
1993−1995年、日本弁護士連合会子どもの権利委員会委員長
1997−2002年、北海道大学法学部・同大学院法学研究科教授
2004−2012年、明治学院大学大学院法務職研究科教授
2000−現在、『子どもの人権研究会』代表世話人

[主な著作]
『学校に市民社会の風を−子どもの人権と親の「教育の自由」を考える』(筑摩書房、1991年)
『わたしたちの教育基本法』(共著、大揚社、1985年)
『体罰と子どもの人権』(編著、エイデル研究所、1984年)
『マイノリティの子どもたち』(編著、明石書店、1998年)
『イジメと子どもの人権』(編著、信山社、2000年)
『宗教と子どもたち』(編著、明石書店、2001年)
『誰のための「教育再生」か』(共著、岩波書店、2007年)
『思春期・青年期サポートガイド−困った!に応え、自立を励ます』(共編著、新科学出版社、2007年)
『寛容と人権』(岩波書店、2013年)


最新講演録・著作などについて》

(1)中川 明「第24回全国付添人経験交流集会講演 子どもの権利の歴史と”今”−子どもたちの未来のために−」(『自由と正義』2014年8月号77頁〜85頁


(2)日本教育法学会編『教育法の現代的争点』(法律文化社、2014年7月)
中川 明 弁護士は、この本の編集委員のお一人です。
分かり易く、レベルの高い最新作です。
子どもの人権を考える方、教育に関わる方々にとって、必携・必読の本です!!

《書評》

(1)高見勝利(上智大学大学院法学研究科教授)
「寛容と人権−憲法の『現場』からの問い直し−」


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(2)三宅弘(弁護士・獨協大学法科大学院特任教授)
「寛容と人権−憲法の『現場』からの問い直し−」

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