教育はアート!!『大田 堯(たかし) 「自撰集成」』全4巻、遂に完成!

教育アート!!『大田 堯(たかし) 「自撰集成」』全4巻、遂に完成!

                            2014年7月28日(月)

 2014年7月6日(日)14:00〜16:30に、大田 堯(たかし)先生(東京大学名誉教授・教育学・96歳)のドキュメンタリー映画「かすかな光へ」(監督:森 康行、約80分)の上映と、哲学者 高橋哲哉さん(東京大学大学院教授、『教育と国家』講談社現代新書など著作多数。)とのトーク「今、教育は?!満96歳 大田堯さん、大いに語る!」が、さいたま市文化センターにて行われ、会場は満員となり、堀尾輝久さん(東京大学名誉教授)、中川 明さん(弁護士)、私なども参加してきました。

DSCF9720.jpg

           2014年7月6日(日)於 さいたま市文化センター小ホール
              左 大田 堯 さん、右 高橋哲哉さん


 なお会場は、南浦和駅から徒歩7分ですが、南浦和駅には、なんとエレベーターなく、危うく遅刻しそうになりました。   




DSCF9725.jpg

           2014年7月6日(日) 於 さいたま市文化センター小ホール

             トークの集い終了後、左から、私の古い友人、大田堯さん、私





2014072411154322057.png





 また、今般、大田 堯 先生の『大田堯 「自撰集成」』第1巻〜第4巻(藤原書店、各々2200円〜2800円)の最終巻である、第4巻「ひとなる−教育を通しての人間研究」が、2014年7月30日に刊行され、全4巻が遂に完成いたしました!

 これらの本は読み出すと、面白くて、面白くて、面白くて、時間を忘れてしまうほどです。


 堀尾輝久東京大学名誉教授(教育学・教育法学)は、次のように書かれています。
「大田先生からお電話、自撰集への想いを語られた。
御自分の戦前・戦中の体験、なにもできなかったことへの反省を含めて、二度と繰り返してはならないという反戦平和への思い、にも拘わらず逆戻りするかのような近年の動きへの心の痛みを語られ、教育研究は現象的状況批判にとどまらず、深いところで人間のあり方を考えてほしいこと、そんな思いで、自撰集を出そうと考えた。これは若い人たちへの遺言だともいわれた。」(『大田 堯 自撰集成月報1』4頁より)

中川 明 弁護士(二弁、日弁連子どもの権利委員会元委員長)は、「大田 堯 先生から学んだこと」との題名で、次のように書かれています。
「1976年11月18日、東京地方裁判所の法廷でのことである。
この日、麹町中内申書裁判に証人として出廷した大田堯先生は、高校入学の選抜資料とされている内申書でも評価されその理由として思想・信条に拘わる事情を記載された原告の教育評価のあり方について問われて、次のように諄々と説いて、聞く者に深い感銘を与えた。・・・
『極めて極端なるジグザグ形式をとるのが人間発達の特徴であるといえます。この非常に活発に選択を行うという時期が二つある。
・・・1歳から5歳位まで[と]14、5歳から23歳に至る思春期
・・・その青年期の選び方の特質というのは
・・・これ迄人から教えられ学んできたこと、
・・・親に反抗したり教師に反抗して、もう一遍学んだことを問い直してみる、極めて重要な時期だということがいえる。
・・・人間を人間にする教育という観点から教育評価を申し上げますならば、行き詰まりや間違いの内容を到達度とともに大事にしていくことではないかと思います。』
この『行き詰まり』と『間違い』を基軸にすえての子ども観は、教育評価の場面においてはもとよりのこと、広く少年事件に取り組む際の私の基本姿勢を形作ることともなった。」(『大田 堯 自撰集成月報1』9頁〜11頁より)

それぞれの巻の概略を、以下、大田 堯 先生自身により、ご紹介していただきました。

2014072411160422111.png


**********************************
【第巻】『生きることは学ぶこと−教育はアート328頁 2200円+税 2013年11月
「教育はアート」。これは、私が教育を考えるときに最も大事にしてきたアイディアです。
つまり教育とは、社会的文化的胎盤に生まれ出たヒトが、育つもの、育てるもの、共に生命あるものとして対応しあう創造活動としての「共育」なのです。習俗社会での「ひとなること」(一人前になる)の意味や生物生態学や生物分子学の新たな知見、さらには子ども権利条約の具体的条文から私がこれまで学んできたことも、すべて「教育はアート」という考えとひびき合っています。

〈収録講演・論文〉
「生きること 学ぶこと−そして私たちはどう生きるか」(2010)/「教育はアート」(2012)/「ヒトの子育てについて」(1993)/「習俗社会と子育て」(1993)/「子どもの権利条約を読み解く」(1990)/「人間にとって教育とは」(2008)ほか


【第巻】『ちがう/かかわる/かわる−基本的人権と教育』504頁 2800円+税 2014年1月
「ちがう、かかわる、かわる」、これがとりあえず私の考えた生命の特徴です。
モノとカネの圧倒的支配の続く現実に対して、基本的人権、つまり一人ひとりの生命によりそった教育をめざす実践が成立する条件を、私は模索してきました。基本的人権を行使するとはどういうことかを、実践的な感性としてつかみとり、主権者として新しい民衆連帯の創出が、いま改めて問われているように思います。「完全就業」「万人の幸福」という夢、かすかな光へと歩む私なりの夢を求めての思索の軌跡です。

〈収録講演・論文〉
「かすかな光へと歩む」(2008)/「多様性を認める社会へ−基本的人権に思う」(2006)/「教育と教化」(1993)/「[証言]良心の自由を求める」(2006)/「地域の教育計画」(1952)/「『問』と『答』の間−教育の危機について考える」(1965)ほか


【第巻】『生きて−思索行動の軌跡』360頁 2800円+税 2014年4月
本巻には、私が「教育とは何か」を問い続けてきた道筋をたどる、語りや文章を収録しています。その時々にかかわりのあった方たちとの出会いを軸にして、学ぶことは生きることそのものであるということを、私自身が気づいていく課程の記録になっています。同時に、私が大事にしてきた中国や韓国との交流、さらには「フィールド・ミュージアム」に関する、近年の私自身の取り組みの記録を収録しました。さらにお読みいただく場合に探索のための道しるべとして、著作一覧をおさめました。活用いただければと思います。

〈収録講演・論文〉
「生きて」(2001)/「戦後の教育と教育学」(1979)/「私の教育研究30年」(1978)/「見沼フィールド・ミュージアムをよびかける」(2009)/「清華大学フォーラム 2010年3月北京」(2011)/「プルム講演記録 2011年」ほか
著作一覧/年表



4.png



【第巻】『ひとなる−教育を通しての人間研究365頁 2800円+税 2014年7月
私は、教育を通しての人間研究という領域に関心を持ってきました。根底となる関心は、人間とは何か、どう生きるかという問題です。私ども人間は、それぞれの時間において、「現在」の問題と向きあいながら、私たち自身も「未来」を創っていく、そういう存在であろうかと思います。この巻には、私がどのように「現在」と向き合い、「未来」を創ろうとしてきたのか、私自身の教育研究の過程に沿った論文を収録しました。

〈収録講演・論文〉
「生命から教育を考える−集成全巻のキーワード(書き下ろし)/「教育とはなにか−学校・社会・企業すべてに共通する人育ての本質」(1985)/同和教育ということ−差別の克服を」(1989)/〈コラム〉「法隆寺はだれが建てたか」(2001)/「教育への権利意識を問う−家永教科書裁判にかかわって」(1994)/「子どもが輝く学校に 座談会 大田堯+如月小春+小田富英(2000) ほか


藤原書店の藤原良雄社長、小枝冬実さんを交えた編集協力者会議は、2012年6月発足以来、原則月1回、臨時を含め30回近くを重ねてきました。高齢で身体が不自由な私のため、浦和郊外の私宅まで、協力者各位、それに藤原社長らも自らご足労いただくという異例対応となりました。

*********************************

【大田 堯 プロフィール】
教育研究者(教育史、教育哲学)。
東京大学名誉教授、都留文科大学名誉教授。
日本子どもを守る会名誉会長。
北京大学客座教授。
『子どもの人権研究会』代表世話人。
東京帝国大学文学部卒業
東京大学教育学部教授、日本子どもを守る会会長、都留文科大学学長、日本教育学会会長、世界教育学会(WAAER)理事などを歴任。
教育とは何か』(岩波新書、ベストセラー)など著作は膨大。著作数は、数十巻になるだろうと思われる。
一昨年2012年、昨年2013年、今年2014年の三年がかりで作業され、『大田 堯 「自撰集成」』(全4巻・藤原書店)完成。
96歳の現在も、講演や執筆にエネルギッシュに取り組んでいる。
1918年生まれ、広島県出身。
さいたま市在住。

 
CMSならドリーマASP