いじめ問題・体罰問題について、教師(梅澤監秀)は、教育現場から考える!!

いじめ問題・体罰問題について、
教師(梅澤監秀)は、教育現場から考える!!


                                         2013年6月7日(金)
                                            6月10日(月)


 学校の先生は、いじめ問題・体罰問題について、一体どのように考えているのでしょうか。本音はどうなのでしょうか?


 2013年5月16日(木)に行われた、『子どもの人権研究会』(※注1)の勉強会において、会員の梅澤監秀(うめざわ・ひであき)さん(都立定時制高校教諭)(※注2)が、いじめ問題、体罰問題について、下記の資料を配布し、次のようなレポートをされました。
 梅澤さんは、『子どもの人権研究会』の原始会員で、設立当初から約26年間会員をされています。

1. 「いじめ問題を教育現場から考える 上」(「週刊教育資料」2013年2月4日号)
2. 「教育現場からいじめを考える 下」(同2月18日号)
3. 「教育現場から体罰問題を考える 上」(同4月22日号)
4. 「教育現場から体罰問題を考える 下」(同5月6・13日号)



 毎週発行されている『週刊教育資料』という教育関係の冊子(各教育委員会の指導主事や現場の校長などの管理職がよく読んでいる冊子だといわれています)の、2月4日号と2月18日号の2回でいじめ問題、4月22日号と5月6日・13日合併号で体罰の問題について、私なりに考えた事を書きました。
 17年ぐらい前に、いじめ問題について書いたことがあって、自分の身近で起こった事例を扱いながら、どうしたらいいかということで書いたんですが、それを読み直してみたら、なんだ今と同じじゃないかと。これもいろんな方がおっしゃってるんです。
 結局、今、幼稚園、小学校、中学校、高校までの教員が全国に109万人いるんですが、その中には、いじめ問題体罰問題に興味関心のない教員もいます。そういう問題が起こってもうまく対処できない、得意でない先生もいらっしゃる。じゃあどうしたらいいか。今の時代は先生が一人で抱え込むのではなくて、チームでぶつかるとか、組織で対応していく、という時代になりました。
 昔は、教員採用試験を受けて、4月1日に赴任すると、もうそこから一国一城の主で、授業を任され、担任を任され、何もかも任され、問題が起こると、『お前のクラスで起こった問題だからお前が解決しろ』と、周りの教員は、遠くから見ていた時代が長かった。しかし、そういう時代は終わりました。むしろみんなで協力しながら解決する。17年前を振り返ってみても、やっぱり同じような傾向が出ています。いじめていた子たち、いじめられていた子たちの行動を見て、ふざけていたとかふざけあっていた、じゃれあっていたというような感覚でしかとらえていない。これはやはり、危機管理意識が不十分ではないか。先生も一緒になって『葬式ごっこ』をやった中野富士見中事件(鹿川君事件)。認識が甘さが助長しているのではないでしょうか。

 体罰については、桜宮高校の事件が象徴的でした。去年の「月刊生徒指導」6月号に書きましたが、本当に同じような事例を想定して書いたところ、予告したみたいと言われた。いかにこういう事例がいっぱいあるか。最後に『顧問を複数制にして、お互いに指導(※注3)
方法を監視しあったらどうか』と書いたのですが、桜宮高校の場合は、先生の教え子が教員になって戻ってきて顧問をやっているから駄目なんですよね。教員の意識を改めていく必要があります。

 体罰については言い古されているが直らない。終わらない。
 生徒も親も、こういう言い方をして大変に申し訳ないが、“加担している・応援している”部分が結構あると思います。『あの先生が顧問やってくれればうちのチームが強くなる。だから任せる。』『先生、言うこと聞かなかったらパシッとひっぱたいて下さいよ』という親がまだいる。生徒にも先生は熱心で熱意があって厳しいけどいい先生だと思っている生徒がいる。その辺の意識をどこかで変えなくてはいけないが、なかなか変えられないのが現状です。

 いじめ問題については、教師がチームで対応する、体罰については管理職が厳しい目で指導者に対してあらゆる苦言を呈するような、感覚を持ってもらわないといけない。体罰問題が起こると、教育委員会が悪いとか言うが、管理職も『あの先生は指導力あるから』と、なんとなく『駄目じゃないですか』ぐらいで終わっている現状があると聞いています。
 『子どもの人権』という視点をきちんと持って、対応しなければいけないと思っています。



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梅澤秀監著
これだけは知っておきたい生徒指導の判例と少年法』
学事出版 2010年


 本書は、『月刊ホームルーム』という高校の教師向けの教育雑誌に4年間連載した「担任の法律問題基礎知識」を加筆・修正してまとめ直したものです。
 内容は、職員室での会話の中から出てきた法律問題を中心に、素朴な疑問や専門的な疑問に答えようとしたものです。

 【 もくじ 】
 第1章 校則
      〈生徒指導と校則〉
      〈懲戒と体罰〉
      〈いじめ裁判〉
 第2章 問題行動
 第3章 子どもの人権
      〈自己決定権〉
      〈学校事故〉
 第4章 進級・留年の規定
 第5章 組織的な生徒指導体制
 第6章 教師のための少年法基礎知識


  【梅澤秀監(うめざわ・ひであき)さん略歴】

 昭和28年東京都生まれ。
 國學院大學大学院法学研究科博士課程前期終了。
 『少年法研究会』『子どもの人権研究会』『東京都高等学校特別活動研究会HR部会』などに参加して、生徒指導や特活の研究を行う。『日本生徒指導学会』『日本特別活動学会』『日本犯罪社会学会』に所属。
 論文に「大麻事件をめぐる生徒指導」『季刊教育法』101号・1995・エイデル研究所、「『生徒指導』を考える」『青少年問題』4月号・2001年・(財)青少年問題研究会、「ゼロトレランスと規範意識」『月刊ホームルーム』7月号・2007年・学事出版など多数。
 現在、東京都立雪谷高等学校(定時制)主任教諭。東洋大学非常勤講師。

 なお、体罰の実態については、1988年の資料ですが、津田玄児・中川 明・吉峯康博「体罰実態−弁護士会・人権擁護局(委員)・裁判所で扱った事例を素材にして」『ジュリスト912号』37頁〜47頁を参照してください。


※注1 代表世話人 中川 明、同 津田玄児、同 澤登俊雄、同 堀尾輝久、同 横湯園子、同 市川須美子、同 大田 堯、同 利谷信義、同 戒能民江、同 村井敏邦、同 中村睦男、同 守屋克彦、同 多田 元、同 八田次郎、事務局長 吉峯康博

※注2 梅澤秀監教諭は、日本弁護士連合会子どもの権利委員会編『子どもの権利通信 合本CD-ROM版』(現代人文社 2011年11月)の18頁〜19頁に「『非行と少年法問題研究会』に参加して」を書いておられます。

※注3 『生徒指導』については、大貫隆志(「指導死」親の会代表世話人)、住友 剛京都精華大学准教授−、武田さち子−教育評論家−編著『「指導死」−追いつめられ、死を選んだ七人の子どもたち。』(2013年5月15日発行 高文研1700円税別)が良書ですので、是非ご参照ください。  http://yoshimine.dreama.jp/blog/499.html

 
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