全面的国選付添人(つきそいにん、分かり易く言えば弁護人のこと)制度の実現を!すべての少年に国選付添人を!

全面的国選付添人
(つきそいにん、分かり易く言えば弁護人のこと)
制度の実現を!
すべて少年に国選付添人を!

 
                                         2011年10月28日


 先般、10月18日(火)正午〜午後1時30分に、衆議院第二議員会館第1会議室において、日弁連『全面的国選付添人制度の実現を求める院内集会』が行われました。

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院内集会(2011年10月18日12時〜13時30分
於 衆議院第二議員会館第1会議室



 少年法に理解のある平岡秀夫法務大臣が就任し、制度実現へ向けて前進する兆しが見える状況のもと、大きなステップでした。

 院内集会には13名の国会議員本人が参加され、おひとりずつ発言されました。

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少年えん罪事件のコミック『勝利』2011年9月20日発行 
小学館文庫を発言の中で紹介した 
井上 哲士 参議院議員(共産党)



 「初めてこの問題を知った。」「勉強になった。」という方から、「全面的国選付添人制度は当然実現すべき制度。」「わずか10億で実現できる。」等、多数の前向きの発言がありました。

 議員秘書も49名の参加があり、120名定員の会場は立ち見が出る状況でした。



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会場の様子



 金子祐子弁護士(横浜)の基調報告は、大変わかりやすく、宇都宮健児会長に褒められていました。被害者の経験も踏まえ弁護士が少年の立場に立って活動する付添人が必要だと訴えた片山徒有さん、国際準則(基準・規則 Standards and Norms)などからも弁護士付添人を付けるのが当然だと述べられた 新倉 修 青山学院大学教授 など、貴重な報告がなされました。

 
 また、当日集会に参加することができなかった議員からも、「全面的国選付添人制度を、是非実現すべき。」との発言がありました。


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満杯のため、立って参加している影山秀人
(向かって左、日弁連子どもの権利委員会委員長、横浜)など


 国選付添人制度は、その対象事件が限定されていることなどから、ほとんど使われていないのが現実です。

 これは、『子どもの権利条約』37条(d)などに違反しています。
 
 『子どもの権利条約』37条(d)
 自由を奪われたすべての児童は、弁護人その他適当な援助を行う者と速やかに接触する権利を有し、裁判所その他の権限のある、独立の、かつ、公平な当局においてその自由の剥奪の合法性を争い並びにこれについての決定を速やかに受ける権利を有すること。

 批准した条約は、日本国憲法98条項に定められているとおり、法律よりも上位・優越的な地位にあります。日本の裁判官は、人権条約についてどう考えているのでしょうか。

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日弁連の最新のパンフレット『付添人がいてよかった 少年の声・親の声』


 家庭裁判所で審理される少年は、年間約5万4000人ですが、そのうちの約6100人(約11%)の少年にしか付添人は選任されていません。

 また、審判までの間、少年鑑別所に収容されて身柄を拘束されている少年約1万1200人のうち、半数にしか付添人はついていないのです。これは、大人の刑事事件の被告人のほぼ100%に弁護人が選任されていることに比べると、大きな違いです。

 30年前の付添人選任率は0.5%(200件に1件)でしたので、この間の、弁護士や全国の弁護士会の努力が大変大きいものであったことが分かります。

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会場の様子



 大人の刑事事件については、大半の事件が「国選弁護制度」により国が弁護士費用を支払っているのに対し、少年事件では、「国選付添人制度」の対象事件が極めて限定されているため、国が弁護士費用をを支払う事件はごくわずかなのです。少年は弁護士費用を支払えるようなお金を持っていないため、「国選付添人制度」がなければ弁護士の援助を受けることができません。これが、付添人選任率が低い理由なのです。

  今回の国会議員に対する要請は、本当に、第一歩ですが、これを積み重ねていくことで、すべての少年に国選付添人が選任される「全面的国選付添人制度」の実現に結びついていくと確信します。


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会場の様子



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日弁連パンフレット『すべての少年に国選付添人を!』2011年3月 2版



 【付添人の役割と必要性】

1 少年をえん罪から守ること
 成人の刑事事件でも、取調べの際、本当はやっていないのにうその自白をさせられ、裁判でも真実をうまく伝えられず、無実の罪で処罰されるという悲劇が後を絶ちません。少年は取調において自分の意見をいえずに取調官に迎合的な供述をする特性があるため、成人よりもえん罪の危険が大きいといえます。これを防ぐためには、審判の段階で付添人が少年から十分に事実関係を聞き、法的な問題がないかをチェックし、必要に応じて裁判所に対して少年の立場から様々な主張をしていくことが不可欠なのです。

2 少年の意見を伝えること
 自分が考えたことをうまく人に伝えることが苦手な少年もたくさんいます。付添人は、少年と時間をかけて話し合ったことについて、裁判所や調査官に直接伝えたり、少年が審判で自分の考えを話せるように援助したりします。その少年の持つ問題を解決するのに最も適切な処分を選択するために、付添人は少年の立場から調査官や裁判官と違憲をぶつけあったりもします。

3 少年の立ち直りを助けること
 付添人の役割は、えん罪を晴らすだけではありません。少年が本当に非行を犯してしまったとしても、少年に寄り添い、少年の立ち直りを助けるために様々な活動を行っています。

1) 少年自身に働きかける
 付添人は、少年と面会し、事件のことや今後の生活のことについて時間をかけて話し合います。自分一人だけでは、自分の生活のどこが悪かったのかを振り返ってよく考えることができない少年もたくさんいます。そこで付添人が少年と一緒に考えることで、少年は自分の問題に気づきはじめます。多くの非行少年は、大人と信頼関係を築けず、十分な愛情を受けずに育っています。そのなかで投げやりになっていた少年が、親身になって話を聞いてもらえる大人と出会ったことで徐々に心を開くようになり、これまでのことを反省して生活を立て直そうと決意することもめずらしくありません。また、付添人は少年や保護者と話し合い、事件の被害者に対して謝罪に行ったり被害弁償をさせたりすることがあります。そうして付添人が接した被害者の感情を少年に伝えることで、少年は自分のしたことの大きさを知り、被害者に対してどう償うかを考えるようになります。

2) 少年を取り巻く環境に働きかける
 非行少年は生まれながらに非行少年だったわけではありません。非行には、少年を取り巻く環境が大きく影響しています。早期に環境的な要因を除去できれば、多くの非行少年は立ち直って非行から離れることができるのです。

(1)家族との関係を調整する
(2)学校に戻れるようにする
(3)良い職場を見つける
(4)少年の帰る場所を探す

4 再非行を防ぐことは社会の利益につながる
 こういった様々な活動は、全ての機関から独立し、少年に寄り添う付添人だからこそできることであり、非行少年の立ち直りに大きな影響を与えているのです。こうして付添人が関わった少年が非行から離れていけば、社会で起こる少年犯罪が減少していき、それだけで安全な社会がもたらされます。付添人の活動は少年のためになされるものですが、結果として私たちの住む社会にとっても大きな利益となっていくのです。

(日弁連パンフレット『すべての少年に国選付添人を!』2011年3月・2版 11頁〜14頁)

 
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