コミック『勝利の朝』塀内夏子作画・吉峯康博、須納瀬学、木下淳博監修(小学館1993年) 

20070912165435.jpg 『勝利の朝』という単行本のマンガがあります。

 1998年、埼玉の市営団地で老女が殺害され、その犯人として当時中学を卒業したばかりの15歳の少年3人が逮捕されました。20071010203719.jpg
しかし、それは事件解決をあせる警察の強引な逮捕でした。

 警察の執拗な追及に、身に覚えのない罪を認めてしまう少年たち3人(15歳)。このままでは彼らが冤罪(えん罪、無実の罪のこと)で犯人にされてしまう。彼らの無実を信じる人たちの手で新たに弁護団(9人)が結成された。真実を証明するために立ち上がる少年・親たちと弁護士たち、そして彼らと警察との戦い。20071010203931.jpg

 
 これをマンガ作家塀内夏子さんが描いたのが『勝利の朝』です。20071010204145.jpg

 塀内夏子さんは、メジャーな漫画家で、現在では約140冊のコミックを描いています。
 『オフサイド』サッカーのマンガ、テニスのマンガなどポピュラーで、最近は『覇王の剣』『イカロスの山』を描かれています。
 『勝利の朝』は、塀内さんが少年たち本人や弁護団から話を聞いたほか、事件に関する記録(積み上げると約2mの高さの量あり)を読み、鑑別所や新聞記者を取材するなど猛勉強のうえ完成されました。
 ”なぜ無実の人が自供してしまうのか?” との問題意識から、警察の取り調べの様子、少年たちが犯行を自供するまでの心理、無実が明らかになるまでの過程などが克明に描かれています。
 わたしたち弁護団は、全面的に協力し監修しました。


20071010211507.jpg


 なお、塀内さんはボランティアで日弁連のパンフレット『知っていますか・・・調布駅南口事件』の作成にも協力されました。

20071009165710.jpg この本は、1993年に小学館から出版され、話題になりました。1993年4月1日朝日新聞の朝刊にも紹介されました。記事によると、深刻な題材で、普段は関心を持たない若い人たちからも反響が寄せられており、また「授業で使いたい」という教師の声もあったそうです。実際、今でも私には「復刊して欲しい。少年法の授業やゼミで使いたい。少年えん罪を学生に理解してもらうにはこの漫画は有効。」と語る大学教授も何人もいます。

  しかし、残念ながら、現在絶版になっています。
 私は、是非、多くの人にこのマンガを読んでもらいたいと思っています。
 えん罪の怖さ・現実を知ってもらいたいのです。
 そのためには、『勝利の朝』を復刊させなければなりません。

  なぜ、『勝利の朝』を復刊したいのか? 以下述べたいと思います。

 (1)子どもたちによる犯罪(少年犯罪)として、次々と衝撃的な事件ややり切れない悲しい事件が発生し、少年犯罪の厳罰化が語られているが、少年のえん罪はほとんど問題とされていない。
  それでよいのだろうか。
 (2)大人のえん罪は、最近注目されている。
  約40年前に起きた強盗殺人事件のえん罪である「布川事件」の再審の扉は開かれた。
  また、最近大問題になっているのは、鹿児島志布志の選挙違反えん罪事件と富山のえん罪事件である。
  最近、日弁連のシンポで被害者の方々から直接話を聞く機会があった。
  痴漢えん罪事件をテーマとする映画『それでもボクはやってない』がヒットしている。
  少し前のオウムの松本サリン事件の河野義行さんのことを思い出して欲しい。
  まさにえん罪は多発している。少なくとも警察の取り調べの全部のビデオ録画を早く実現させたい。
 (3)では、子どもたちのえん罪はどうなのか?
  常に、少年えん罪事件も数多く存在している。10年前も20年前も30年前もそうだ。
  政府統計でも毎年数百件発生している。暗数もあるに違いない。
  綾瀬母子殺人えん罪事件は、典型例の一つである。少年えん罪事件の『教科書』とも言える。
  だからこそ、何よりも子どもたちに知ってもらいたいのだ。
  もちろん、親たち、学生、ロースクール生、教師、市民にも少年えん罪の怖さ・現実を知ってもらいたい。
  なお、触法少年(14歳未満)のえん罪事件もある。
  大阪の老女殺しえん罪事件は有名。
  1981年3月1日毎日新聞には「小6男児の老女殺54年大阪『ぼく、やってない』違う指紋、
  身長超すタンス物色・・・」とでている。
  (「少年えん罪事件について−綾瀬母子殺人事件などを素材に−」拙稿があるのでこれも是非読んでくださ
  い。)
20071010204612.jpg
 上記の想いから、『勝利の朝』を復刊させるためにはどうしたらよいかと様々検討していたところ、
「復刊ドットコム」(http://www.fukkan.com/)というサイトがあることを知りました。
復刊して欲しい本を投票し、ある程度の投票があると復刊してもらえるというサイトです。
皆さんにご協力願って、復刊にこぎつけたいと思います。

 「復刊ドットコム」リクエスト投票マニュアルをご覧頂き、是非投票をお願いします。

 なお、この本をすぐお読みになりたい方は、アマゾンなどに中古本が出ていますので入手されるとよいでしょう。

20071010212208.jpg





 


 
CMSならドリーマASP