被災地の弁護士会会長(福島、仙台、岩手、山形、茨城)の緊急現地報告(2011年3月27日 日曜日)!!

被災地の弁護士会会長(福島、仙台、岩手、山形、茨城)の
緊急現地報告(2011年3月27日 日曜日)!!

                                          2011年3月30日


 3月27日(日)10時15分〜17時23分、日弁連(日本弁護士連合会)の臨時理事会などが行われました。

 各弁護士会(52単位弁護士会)の会長など71名、4月からの新弁護士会会長など71名及び日弁連会長(宇都宮健児弁護士)、副会長 合計26名(現副会長13名、新副会長13名)、事務総長、事務次長など執行部が、緊急に日曜日に結集しました。

 その中で、今般の東日本大震災の被災地(福島、仙台、岩手、山形、茨城)の弁護士会会長より、緊急現地報告がありました。

 事柄の緊急性・重大性に鑑み、被災者、関係者、自治体、市民、国民、政府などの方々に少しでも参考にしていただくために、謹んでご報告いたします。

 なお、震災時の法律相談について、次の二冊の本がHP上に掲載されていますので、是非ご覧下さい。

● 関東弁護士会連合会編集『Q&A災害時の法律実務ハンドブック』(平成18年9月19日 新日本法規出版) http://www.sn-hoki.co.jp/shop/zmsrc/qa50593/mokuji.htm

● 近畿弁護士会連合会編『地震に伴う法律相談Q&A』(平成7年3月16日 商事法務) http://www.shojihomu.co.jp/0708qa/0708qa.html
 

 宇都宮健児 日弁連会長、新里宏二 仙台弁護士会会長などは、会議終了後直ちに、山形まわりで、仙台など被災地に向かいました。




福島県
 相馬地区、いわき地区相談センターが再開不能。
 白河相談センター、郡山支部センターは建物の一部損壊。原子力緊急事態により18日まで閉鎖。
 会津若松を除き、会務は3月23日まで機能停止。23日福島、25日郡山、28日から白河が再開する。
 いわき支部の刑事の身柄事件は東京、郡山支部の身柄事件は宇都宮に移る。
 各事務所は浜通り地区を除けば通常業務再開している。いわき市の会員の4割は通常業務に戻りつつある。
 災害復興本部を作ったが、会津以外機能停止していた。
 3月29日より、福島、郡山、白河に電話相談センターを作る。
 しかし原発事故で先が見えない。原発事故の収束なくしては被害の全貌も明らかにならない。一刻も早い原発事故の収束を願う。原発事故に関する会長声明に勇気と力を与えていただいた。心から感謝する。他会には県外避難者の法律相談に対し感謝している。
 日弁連は原発事故に関する情報を整理して、会員が安心して復興活動に従事できるような情報を発信して欲しい。
 
仙台
 宮城県全体で死者1万5000〜6000人、さらに2万人に至るのではないか。仙台市内中心部の物的被害は余り多くない。ガスがこない。しかし市内でも海岸沿いでは大きな被害。気仙沼、石巻のほとんどの事務所は使用不能である。弁護士会館は16日〜18日閉鎖。裁判所は4月1日から始まる予定である。
 電話相談をやっている。電話3本を引いて、3日で324件、相談電話を6本体制にする予定である。
  県南部の沿岸で8名の弁護士が相談に行ったら110件の相談があった。来週は石巻で10名で相談に行くこととしている。被災地に出向いての相談の要望が多い。現在は会員でやっているが、そのうち疲れてくる。
 4月末には新幹線開通するらしい。その後に全国から応援に来てもらいたい。そのための受け入れ体制を作りたい。
 
岩手
 会員81名 被害を受けたのは三陸沿岸9名の弁護士である。久慈 宮古 釜石 大船渡 陸前高田 沿岸部で仕事が出来ていないのは釜石2名。大船渡は明日から。釜石ひまわり基金はビルの2階に水が入った。もう1人の会員は自宅兼事務所であり、1階の事務所は水が入った。この2名については全く仕事が出来ていない。14日に災害対策本部を立ち上げ、毎朝会議している。最初は安否から。釜石の弁護士の事務員お一人が亡くなられている
 電話相談2回線で4日間で65件である。大船渡から車で相談に来た人もいる。三陸沿岸は、盛岡、または新幹線の駅から2時間または2時間半かかる。ガソリンがなくて車で行けない。仕方なく電話で相談している。法律相談マニュアルを作っている。裁判所と協議もしている。訴訟など提起の際の添付書類の弾力化を求める。刑事事件の弁護人の複数選任も求めている。
 管轄については、大船渡、陸前高田は一関支部だが遠野支部の方が近いので弾力的に運用してもらう。身柄は弁護士の行きやすいところに移せと検察庁に要望し、ほとんどが盛岡に移った。罹災証明を速やかに発行できるよう依頼。町長が死亡したところがある。ガソリンの優先配布も依頼した。被災者のニーズとして、基本的な情報が全く届いていない。罹災証明の必要性なども知らない人がいる。それらをパンフレットにして配るようにしている。宮古の法律相談には弁護士を貼り付ける予定である。他会の方に応援に来て欲しい。
 
山形
 直接的な打撃はないが物流、特にガソリンの問題が大きい。相談センター等は動いている。明日からフリーダイヤルで電話相談を行う。山形は避難場所になっている。かなりの方が福島から来ている。今後、その対応が必要となる。
 
茨城
 北茨城等に被害があったが、弁護士会関係は無事であり、ほぼ回復した。裁判所 水戸は今月いっぱい民事はなし。刑事のみやっている。裁判所の塀が倒れて通行人が怪我をした。22日に災害対策委員会で協議。ガソリンが足りないので28日から無料法律相談を電話でやる。



 また、参考のために、3月25日付 日弁連の「東北地方太平洋沖地震による福島第一原子力発電所の事故に関する会長声明」を添付します。




東北地方太平洋沖地震による福島第一原子力発電所の事故に関する会長声明


1 本年3月11日に発生した東北地方太平洋沖地震及びこの地震によって引き起こされた大津波により、東京電力福島第一原子力発電所では、1号機から4号機で、外部電源や非常用ディーゼル発電など炉心や使用済核燃料プールの冷却機能を働かせるために必要な電源が全て失われ、核燃料棒が冠水できず、高温状態が継続して、炉心溶融・水素爆発等による建屋や圧力抑制室の損壊・使用済核燃料プールの水温上昇などの事故が発生し、放射性物質が原子力発電所から環境中に放出されるなど予断を許さない深刻な事態が進行している。そのため、原子力発電所から半径20km以内は避難指示、半径20〜30kmの範囲では屋内待避指示が出される異常事態となっている。

当連合会は、避難指示及び屋内待避指示を受けた住民の皆様にお見舞い申し上げるとともに、現在も原子力発電所事故の現場で懸命の努力が続けられている原子炉の冷却作業等によりこれ以上の深刻な被害が回避されるよう心から祈念する。

2 福島原子力発電所事故に対する危機管理は、原子力災害対策特別措置法により行われているが、原子力災害対策本部による情報開示は、情報伝達の遅れ、東京電力との情報の食い違い、開示情報が不十分であるなどの問題があり、国際原子力機関(IAEA)を中心とする諸外国からも批判がなされている。

日本の原子力発電所は、設計の際に想定した地震や津波を基に安全性評価を行っており、かつ、原子力発電所の安全装置の一つが働かなくなっても、他の装置が働いて安全性を確保できるという単一故障指針に基づいて設計されてきた。今回の福島第一原子力発電所の事故により、想定されている地震、津波が過小評価であること、そして地震に対しては複数の故障が同時に生じ、安全性が確保されないことが明らかになった。

また、国や電力会社は、放射性物質が外部に漏出しないよう、燃料被覆管、圧力容器、格納容器、原子炉建屋で多重に防護されているから安全であるとしてきた。しかし、今回のような冷却剤喪失等の事故が起これば、原子力発電所の安全性が確保できないことも明らかになった。

今回の地震と同じ大規模なプレート境界地震である東海地震等の発生が予測されており、その想定される震源域の直上に位置する浜岡原子力発電所をはじめ、全国には地震と津波の危険にさらされている多数の原子力発電所や原子力施設が存在するが、今回の事態を受けて、原子力発電所の建設が進められていた上関原子力発電所、東通原子力発電所、大間原子力発電所については工事を一時見合わせることが発表された。

当連合会は、従前より、地震及び津波による原子力発電所事故の危険性を指摘し、原子力発電所の新増設の停止と既存の原子力発電所の段階的廃止を訴えてきた(2000年10月6日第43回人権擁護大会決議)。今回の事態は、当連合会の表明してきた危惧が現実のものとなったものである。今こそ、原子力発電所に頼ってきた従来のエネルギー政策を抜本的に見直し、エネルギーの消費削減と再生可能エネルギーなど他のエネルギー源への転換を速やかに図らなければならない。

3 よって、当連合会は、現下の緊急事態に鑑み、地域住民と広く国民の生命と健康、安全と安心を守る立場から、関係機関に対し、早急に以下の措置を講じるよう強く求める。

(1) 原子力災害対策本部は、福島第一原子力発電所事故の現状及び今後想定されるあらゆる事態、並びに、各地の放射能汚染の実情と被曝による長期的なリスクに関する情報、被曝防護に関する情報を正確かつ迅速に国民に提供し、適切な範囲の住民を速やかに避難させること。

(2) 国及び東京電力は、今回の事故により避難及び屋内待避の指示を受けた住民等に対し十分な支援及び被害補償を行うこと。

(3) 国、電力会社その他原子力関係機関は、二度とこのような原子力発電所事故を繰り返さないために、原子力発電所の新増設停止し、既存の原子力発電所については、電力需給を勘案しつつ、危険性の高いものから段階的に停止すること。


2011年(平成23年)3月25日

日本弁護士連合会
会長 宇都宮 健児



 


 
CMSならドリーマASP