刑事裁判における弁護士の役割について

 光市母子殺害事件について、様々な議論があります。
 私の、刑事裁判における弁護士の役割についての基本的な考え方は、日本弁護士連合会の会長声明と同じです。
 この会長声明を参考に、皆さんも考えてみてください。


【改めて弁護士の役割に対する理解と弁護活動の自由の確保を求める会長声明】

広島高等裁判所に現在係属中の殺人等被告事件に関し、さきに当連合会あてに被告人弁護団を脅迫する書面等が届けられたため、当連合会は、脅迫罪捜査の端緒になるものと判断し直ちに捜査当局に届出を行っていたところ、報道によれば、最近に至り当連合会に送付されたものと類似のものが新聞各社にも送付されたとのことである。ことは極めて深刻であり、放置できない。ここに、当連合会の立場を改めて、表明する次第である。

憲法第37条第3項は、「刑事被告人は、いかなる場合にも、資格を有する弁護人を依頼することができる」と規定する。

いかなる場合であっても、弁護人を依頼する権利が保障され、十分な防御の機会が与えられなければならない。これは、被告人に適正な裁判を受ける権利を保障するものであり、人類が歴史を通じて確立してきた大原則である。この原則は、いかなる時代にあっても、実現されなければならない。そして弁護人は、被告人のために最善の努力をすべき責務を負っているのである。

価値観が多様化し、複雑な権利関係が鋭く対立する現代において、国内外を問わず、力によらず言葉により基本的人権の擁護と社会正義の実現を目指す弁護士の役割は、民主主義の基盤として、ますますその重要性を増している。

国連の「弁護士の役割に関する基本原則」は、第1条において人権と基本的自由を適切に保護するため、「すべて人は、自己の権利を保護、確立し、刑事手続のあらゆる段階で自己を防御するために、自ら選任した弁護士の援助を受ける権利を有する」と定め、第16条において「政府は、弁護士が脅迫、妨害、困惑あるいは不当な干渉を受けることなく、その専門的職務をすべて果たし得ること、自国内及び国外において、自由に移動し、依頼者と相談し得ること、確立された職務上の義務、基準、倫理に則った行為について、弁護士が、起訴、あるいは行政的、経済的その他の制裁を受けたり、そのような脅威にさらされないことを保障するものとする」と定めている。

当連合会は、上記国連原則に則り、広く市民と、こうした弁護活動への妨害や脅迫が民主主義への挑戦であるとの共通の理解に立って、今回の脅迫行為に対し強く抗議するとともに、憲法の要請する弁護活動の自由を保障するため、改めて全力を尽くす決意である。

2007(平成19)年7月11日
日本弁護士連合会
会長 平山 正剛


 
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