ドイツの司法修習生の制度(法曹養成制度)を参考にし、お手本にし、大いに議論しよう!!

ドイツの司法修習生の制度(法曹養成制度)を参考にし、
お手本にし、大いに議論しよう!!

                                        2010年11月19日(金)
                                                                                          2010年12月20日(月)更新


 司法修習生給費制維持問題に関し、次のような報道がなされています。

 「民主、自民、公明の3党は18日午後、幹事長・国対委員長らの会談を開き、国が司法修習生に給与を支給する給費制を維持する議員立法を、今国会で成立させる方向で調整に入った。・・・貸与制導入を1年間先送りする暫定措置が有力となっている。」(毎日新聞2010年11月18日(木)記事より)

 「日弁連の海渡雄一事務総長は、『給費制維持の目標に向けて、大きな一歩を踏み出した。法曹を目指す人にとっても希望のエールになったのではないか。』と歓迎する。各党は、一年の延期中に給費制の是非を検討するが、『責任を持って議論に参加していきたい』と話した。」(読売新聞 2010年11月19日(金)朝刊より)

 私は、この問題を考える材料としてドイツの法曹制度や実態について情報提供したいと思います。
というのは、給費制の問題について、これまで多くの国会議員と会話を交わしましたが、ドイツの法曹制度については、ほとんど知られていないのが現実だからです。

 第一に、ドイツの司法修習生(2年)は、準国家公務員であり、月額手取りで848〜930ユーロであること、この額は日弁連が紹介している10万円前後でしょう。私の知人の研究者は、毎年夏に1ヶ月くらいベルリンに行きますが『生活費は安く、非常に暮らし易い。』と言われています。

 ドイツでは、大学法学部卒業時に「第1国家試験」があり、「第1国家試験」の合格率は2006年で70.7%(合格者中、女性の占める割合は2008年では51%)です。「第1国家試験」に合格後、2年間の司法修習を行います。

 司法修習の終わりに課される「第2国家試験」に合格すると法曹資格が与えられます。2008年の場合、合格者は8345人(合格率83.3%)、うち女性の合格者の割合は52%です。

 第二に、2008年の統計では、ドイツの裁判官は2万1826人もいます(うち女性裁判官は8261人)。日本の裁判官(判事と判事補の合計)は、2009年の統計では、3566人(うち女性裁判官は570人)です(1980年は2724人で、うち女性は76人)。

 第三に、2010年現在のドイツの弁護士人口は、約153000人であり、1990年代半ばから比べると約倍となっています(1950年は1万2844人、1980年は3万446人、1995年は7万4291人、2000年は10万4067人)。うち女性の占める割合は31.58%です。日本の弁護士人口は、2010年12月22日現在3万446人、うち女性は5101人です(今般、はじめて5000人の大台に乗りました!)。

 比較法的意見は大切です。日本の法律家(裁判官、検察官、弁護士)の短所の一つは『ドメスティックに考えすぎること』だと私は考えます。

 憲法98条2項に『日本国が締結した条約…誠実に遵守する…』となっており、少なくとも法律よりも強い効力を持っている、国際人権法すなわち、女性差別撤廃条約・子どもの権利条約・B規約などを実務に使える法律家(裁判官、検察官、弁護士)が、どの位いるのでしょうか?

 松尾綜合法律事務所の山岸泰洋弁護士によると、ドイツの弁護士との交信から判った事は下記のような事項とのことです。

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)〜睛楡制度における「第1国家試験」とは、あくまで連邦主催の国家試験であり、法学部の卒業試験とは異なる。ただし、大学における法曹教育課程は「第1国家試験」の合格によって完結する(「法学の修了」となる)ので、事実上、卒業試験の色合いはあるかもしれない。

◆崑1国家試験」(2008年の合格者のうち女性の占める割合は51%)と「第2国家試験」の間の「司法修習」には、準国家公務員として給与が支払われる。州によって若干異なるが、月額手取りで848〜930ユーロ程度である。

O∨統計局によれば、2007年は10377人が「第2国家試験」を受験し、8573人が合格している(82.6%)。もっとも、合格者全員が伝統的な法曹の職に就くわけではない。

て韻犬2008年8月30日の統計では、裁判官人口は21826人(うち女性が8261人)。弁護士人口は、2006年の弁護士会統計で138104人。
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 また、松尾綜合法律事務所の松尾翼弁護士は、「世界の中での法曹養成制度について、もっと比較法的な意見も出して欲しい。余りに日本にのみ捉われた意見ばかりじゃないことについても考えるべき。」などと主張されています。


 最後に、私は、この問題についての「国会での議論はほとんどなく、『国民不在』の決着というほかはない」との指摘(読売新聞 2010年11月19日記事)の指摘は、念頭に置かなければならないと思っています。

 来週の衆議院法務委員会・本会議、参議院法務委員会・本会議が開催されますので、そこでの議論を待たなければなりません。

 以下、この問題についての各報道をご紹介します。

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【NHK】
「司法修習生給与延長 法案提出へ」

2010年11月18日 5時27分

先月で打ち切られた司法修習生に給与を支給する制度について、民主党や公明党の司法関係議員らは、今月から1年間支給を継続するための法案を議員立法で提出し、今の国会で成立を目指すことにしています。

司法修習生に対しては、毎月およそ20万円の給与が国から支給されてきましたが、財政負担を減らすため、先月で支給が打ち切られ、代わりに、申請した人に対して無利子で資金を貸与する制度が導入されました。しかし、民主党や公明党の司法関係議員らは、法改正当時に想定されたほど司法試験の合格者が増えていないことから、当面は支給を継続できるという認識で一致しました。そして、今月から1年間支給を継続するための法案を議員立法で提出し、今の国会で成立を目指すことになりました。これを受けて、民主・自民・公明の3党の幹事長・国会対策委員長が18日に会談し、こうした方向で最終的な調整を行うことにしています。今回の動きは、弁護士出身の公明党の幹部らが与野党に働きかけ、これに民主党の幹部が同調して一気に実現の方向となったもので、民主党には、臨時国会の終盤に向けて公明党の協力を取り付けたいという思わくがあるものとみられます。

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【時事通信】
「修習生給費制、1年継続へ=今国会で法改正−民自公が一致」

2010年11月18日 14:21

  民主、自民、公明3党の幹事長らは18日、国会内で会談し、司法試験に合格した司法修習生の生活費について、今月1日にスタートした「貸与制」を以前の「給費制」に戻すことで一致した。2011年10月31日まで給費制を継続し、困窮者への返済免除などの措置を講じた上で、貸与制に移行する。衆院法務委員長提案で裁判所法改正案を提出し、今年の司法試験合格者の修習が始まる27日までに成立させたい考えだ。
 修習生にはこれまで月額約20万円が給与として支給されていたが、法曹人口の拡大に対応するため、今月1日から無利子の貸与制に切り替わった。民主党の一部や公明党は10月、貸与制への移行を延期するよう各党に働き掛けたが、自民党が「民主党内がまとまっていない」と反対したため断念。しかし、その後も日弁連が「金持ちしか法曹になれなくなる」と各党に法改正を求めていた。

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【毎日新聞】
「司法修習生:給費制を維持…民・自・公、議員立法で調整」

2010年11月18日 13時26分(最終更新 11月18日 13時49分)

 民主、自民、公明の3党は18日午後、幹事長・国対委員長らの会談を開き、国が司法修習生に給与を支給する給費制を維持する議員立法を、今国会で成立させる方向で調整に入った。給費制から貸与制へ移行する改正裁判所法は11月1日に施行され、年末から貸与が始まる。このため、貸与制導入を1年間先送りする暫定措置が有力となっている。ただ給費制には法律家への優遇との批判があり、民主、自民両党内に慎重論もある。【横田愛】

 給費制は日本弁護士連合会が維持を求め、民主党や公明党内では同法施行前から制度維持のための議員立法化を目指す動きがあったが、自民党が同調せず貸与制導入が決まっていた。

 しかし、公明党が10年度補正予算案に反対したことなどをうけ、自民党が制度維持を求める公明党との連携を重視する思惑から、協議に応じることになった。自民党幹部は方針を転換した理由について「公明党側の意向が強い。政治上の判断として今の国会運営などを考えた」と語った。

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【日経新聞】
「修習生『給費制』1年継続の議員立法へ調整 民自公 」

2010年11月18日 18:54

民主、自民、公明3党の幹事長、国会対策委員長らは18日、国会内で会談し、司法修習生に国が給与を支払う「給費制」を1年間継続する議員立法を今国会で成立させる調整に入った。裁判所法を改正し、「貸与制」を先延ばしする方向だ。ただ自民、民主両党内には慎重論も根強い。

給費制を巡っては、法曹人口拡大で財政負担が増えることへの配慮などから、貸与制に移行する改正裁判所法が今月1日に施行された。日本弁護士連合会は給費制維持を主張。会談は公明党の働き掛けに民主党が同調し、自民党も応じた。
桜井充財務副大臣は18日の記者会見で「財政当局にも相談がなかった。非常に驚いている。党としての体裁をなさない」と不快感を示した。

会談後、公明党の漆原良夫国対委員長は記者団に、今年の司法修習が始まる27日までに委員長提案で議員立法を成立させる考えを示した。自民党は19日に法務部会を開き、意見を聴取する。

貸与制に関しては、11月の改正法施行前に民主党の一部や公明党が移行を延期する議員立法を目指したが、自民党の合意を得られず10月中に提出できなかった経緯がある。貸与額は月23万円が基本。修習終了5年後から10年間で返済すれば無利息で済む。

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【ANNニュース】
「人材確保に配慮 司法修習生の『給費制』延長へ」

2010年11月19日 10:52

 司法修習生に対する国の支援について、民主党と自民党、公明党の3党は18日、これまでの「給費制」を来年10月末まで1年間延長することで合意しました。関連法案を今の国会で成立させる考えです。

 司法修習生に対する国の財政支援について、これまでは国が給与を支払う「給費制」でした。しかし、司法制度改革の結果、司法試験合格者が増加し、国の財政負担が増していることから、11月から国への返済義務が生じる「貸与制」に変更されていました。これに対して、日本弁護士連合会などから「修習生の厳しい経済状況に配慮すべきだ。優秀な人材が確保できない」などと強い反発があり、公明党が民主党や自民党に呼びかけて調整を続けていました。結局、18日の3党の幹事長クラスの会合では、これまでの「給費制」を来年10月末までの1年間、延長することで合意しました。3党は今の国会で関連法案を成立させる方針です。

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【時事通信】
「給費制の1年継続を了承=自民」

2010年11月19日 12:50

 自民党は19日の法務部会で、司法修習生の「給費制」を1年間に限って復活させるとした民主、自民、公明3党の幹事長らの合意について、1年後までに司法制度改革の抜本的見直しを行うことなどを条件に了承した。
 給費制は修習生に月額約20万円を給与として支給する制度。今月1日の改正裁判所法施行により無利子の貸与制に切り替わったが、18日の3党幹事長らの会談で2011年10月末までの暫定復活で合意していた。
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この他に、2010年11月19日(金)の読売新聞朝刊1面、社会面にも詳しい記事が出ています。

 
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