司法修習生の給与カットに反対!請願署名運動を!市民の権利・利益の問題です!!なお、民主党代表選(小沢一郎さんって?)にも触れて

司法修習生の給与カット反対!請願署名運動を!
市民権利利益の問題です!!
なお、民主党代表選小沢一郎さんって?)にも触れて

                                          2010年9月15日(水)更新
                                          


 本年、2010年11月に、司法修習生の給与カット(年間約300万円から0円へされ、『貸与制』(給付型奨学金ではありません!!)が導入されることになっています。

 9月13日(月)には、「民主党の法務部会が11月から始まる司法修習生に生活費を貸与する制度を延期し、現行の給与支給を継続する方針を決めた決めた」というグッドニュースが飛び込んできましたが、残された時間、私たちに出来る限りの運動を展開しなければなりません!!

  日弁連の請願署名運動は前進しています。署名をした市民・国民は、短期間で約35人になりました!単位会別で言うと、福岡県弁護士会が1位で約6万筆強、東京弁護士会は約2万筆です。私を通して請願署名をして下さった方々は、本日の段階で1992筆です。日弁連の請願署名締め切りは9月21日(火)です。日弁連の請願署名提出院内集会は、9月29日(水)に予定されています。



2010082011305811751.jpg


 

2010082011463417553.jpg


 
 司法にはきちんとお金をかけて、心ある立派な法律家(裁判官検察官弁護士)を育てなければなりません。
 私は、「司法修習生の給与カット」に反対し、運動しています。
 後述のような手紙(暑中見舞い又は残暑見舞い)を、私の知り合いの方、依頼者など約450人に出しました。

 日弁連全体としては30万人分の署名を目標にしているが、私見では、40万人は突破すべきではないかと言っておりましたが、皆さんの頑張りによって、本日の段階で約35万筆になりました!!


 是非、皆さんもご協力下さい。


 署名用紙は下記画像をクリック、プリントアウトしてお使い下さい。

                       ↓ ↓ ↓ ↓ ↓

syomei_2.jpg



 *************************************
                        残暑お見舞い申し上げます

   ● ● ● ●  様


 2010(平成22)年9月3日

 弁護士 吉 峯 康 博


 猛暑が続いておりますが、お元気にお過ごしでしょうか。
 私は、脳出血で倒れて約8年が経ちました。現在も、右半身麻痺、歩行困難、難聴(失語症)、右側視野狭窄などの後遺症があり、車椅子での生活を送りながら毎日リハビリを重ね、自分らしい生活や人生を再び建て直すように頑張っています。初台リハビリテーション病院に、私は週1回(以前は週2回)、約7年間通院しています。
 お陰様で、昨年は日弁連の常務理事などを務めさせていただくなど、倒れた当初を思いますと奇跡的な回復を遂げており、これも皆さまのお励まし、お支えがあってのことと心から感謝しています。
 さて、マスコミの報道などでご存知の方もいらっしゃると思いますが、本年11月に、司法修習生の給費制(給与支払い制度)が廃止され、新64期修習生より貸与制が導入されることになっています。
 裁判官・検察官・弁護士になるには司法試験に合格したあと、司法研修所での1年間(近年2年から1年に半減!!
)の実務研修が義務づけられています。
修習期間中は国から給与(1年間で約300万円)が支払われていましたが、上記のとおり本年11月からは0円になり、「貸与制」に変更されることになっています。現在、司法修習生は、法科大学院時代の奨学金などで1人平均約320万円の借金をかかえています。給与の支給制を廃止し、貸与制に変更すると、裁判官・検察官・弁護士になる時には、1人平均約600万円の借金をかかえていることになります。修習生はアルバイトなどが禁止されていることもあり、これでは、経済的に恵まれない人たちが法律家になる道は閉ざされてしまいます。多額の借金をかかえた状態では、貧困に苦しむ人々の人権擁護活動も十分にできなくなることが懸念されます。人権を守るためには、経済的に恵まれない人も等しく法律家になれることが重要です。このまま制度が変更されれば、「金持ち」しか裁判官・検察官・弁護士にはなれなくなってしまうかも知れません。国はすべての国民に公平な機会を保障し、志の高い、心ある法律家を育成するため、司法修習生に対する給与カットの法律を見直し、裁判所法を改正すべきです。
なお、ドイツでは司法修習生約1万人に対して、2年間、月額10万円程度の給与が支給されています。
特別会計(176兆円)『事業仕分け』が始まりました。ムダは徹底的に省く必要があります。しかし、『市民の権利・利益を守るため』に必須な国庫(司法予算)の支出(約60億円)は必要です。良い法律家を持つことは「市民の権利・利益」なのです。

 現在、「司法修習生への給与カットに反対!!」の運動が、市民、弁護士、法科大学院生、司法修習生などを中心に全国各地で盛り上がっています。また、各党の政治家(国会議員など)に対する対策も急速に進んでいます。議員の中には、「ロースクール生の経済事情など司法制度改革を進めていた時とは様々な事情(『事情変更の原則』の精神!!)が異なっている。」「立法府の無責任、怠慢と言わざるを得ない。」「少しずつ少しずつ認知され始めている。」などの声が増えてきています。
 私は、5月29日(土)にこの問題についての市民集会が開催された名古屋でのデモ行進に参加致しました。デモ行進に参加したのは、十数年振りでしょうか?

2010082017524426339.jpg
(2010年5月29日(土)名古屋での市民集会後
十数年ぶりに参加したデモ行進!!)




2010082017365830326.jpg
(2010年5月29日(土)名古屋での市民集会後のデモ行進の様子
先頭は、川上明彦代行、宇都宮健児日弁連会長、
斎藤 勉 日弁連副会長、細井土夫 日弁連前副会長)



 また、この猛暑の中、お盆を除いてほぼ毎日市民集会が全国各地で行われています。
 例えば、福岡では、7月31日(土)午後3時から、約500人の市民が結集しました。また、7月29日(木)には、初めての「院内集会」(部屋は超満杯!!)と埼玉の市民集会が行われ、8月6日(金)には、甲府、佐賀、和歌山と、同じ日に全国3箇所で市民集会が行われ、8月7日(土)には兵庫、8月10日(火)富山、8月14日(土)大分、8月21日(土)岩手、8月22日(日)宮崎においても行われました。岩手の市民集会には、小沢一郎衆議院議員から「時代に合った司法制度にする必要がある。」との趣旨のメッセージが寄せられていますが、これは日弁連の『闘い』『運動』の前進の現れです(ちなみに、私は小沢一郎さんは議員を辞めるべきと以前から一貫して考えています。詳細は、私の2010年1月20日付ブログ「『真に』市民のための司法改革を目指して!!」をご参照下さい。民主党公開討論において、菅氏が「小沢さんの政治のあり方は、カネと数の原理が色濃くある。」と言われましたが、まさにそのとおりです。「小沢さんは説明を嫌い、白紙委任を求める体質の表れと言われても仕方ない。」「小沢氏は明らかに権力集中型、トップダウン型である。」朝日新聞2010年9月3日朝刊社説、との評価はまさにそのとおりです。私の私見を若干述べます。政治とカネの説明責任について、小沢さんは何も説明していません。一言で言えば、事の本質は実質的には『収賄』です。金丸さんも田中さんも『収賄』でした。なぜ検察は政治資金規正法違反で捜査したのでしょうか? 検察のだらしなさ、怠慢ではないでしょうか。私が担当検察官であれば、『収賄』で捜査をして立件しただろうと思います。多くの市民・国民は、このことを本能的に感じているのではないでしょうか。各論を言えばきりがないのでやめます。例えば自民党の谷垣総裁は、小沢さんのことを比喩的に、「ジョージ・オーウェルの『動物農場』の世界と本質的には同じであり、ファッショ的体質である」と指摘されています。様々党派から同じような指摘があると思います。今回の代表選で、市民国民をバックにし、菅氏が勝利することは間違いないと私は思います。本音を言わないと腹がふくれるのでそのまま言いますが、この20年間、私は小沢さんのことをそのように評価していましたし、今もそうです。なお、私が国会議員を辞めるべきだと言っても、ご本人は決して辞めないでしょう。従って、私は一年以上前から今日まで、小沢一郎さんは、外務大臣などに向いていると思っています。なお、投票結果は、私の予想通り、菅さんは大差で再選されました!)
 また、全ての市民集会の後、この猛暑の中文字通り汗だくになりながら、それぞれの弁護士会の会長、宇都宮健児日弁連会長などを先頭に、何十本もの旗や風船をもって、デモ行進が行われています。東京では、9月1日(水)18時半〜20時半に霞が関弁護士会館2階クレオで市民集会が行われ、約250人が集結し大成功でした。各党からバランス良く国会議員の出席もありました。請願署名は約35筆になりました。9月16日(木)12時15分〜13時には『2000人パレード』が日比谷公園から行われます。

 裁判所法を10月までに改正しないと、本当に大変なことになってしまいます。『法律家は社会生活上の医師』であり、医師の研修医(有給・2年間)がそうであるように、法律家に国や社会でお金をかける必要があります。法律家は、正義・権利・法の『守り手』であるべきなのです。
 つきましては、「司法修習生の給費制の存続を求める請願書」への署名にご協力を賜りたく、失礼ながら残暑お見舞いに代えてご挨拶をお送りさせていただきました。
 お忙しい中誠に恐縮ですが、9月21日午前中までに同封の封筒にて当職事務所に届くようにご返送頂ければ誠に幸甚です。日弁連は、21日まで受け付けて署名を整理し、9月29日(水)に『署名提出集会』で正式に提出致します。署名用紙は2枚入れさせていただきましたが、最低でも1枚、可能な方は2枚、更に必要な方はコピーしてお使い頂ければ幸いです。
 くれぐれもよろしくお願い申し上げます。
 最後になりましたが、皆さま方のご健勝を心よりお祈り申し上げます。

**************************************

 以下、新聞記事をご紹介します。


★論説★ 司法修習の給料廃止「カネより正義」が本筋
2010年8月24日付 岩手日報 朝刊3面 社説

 「カネがないなら、法律家になるのはやめたら?」
 岩手弁護士会が主催して先週末、盛岡市内で開かれた市民集会で、仙台の若手弁護士らでつくる劇団あおばが披露した寸劇の一コマ。市民集会のテーマは「司法修習生の給費制維持」だ。
 従来、修習生には国から一人月額20万円ほどの給料が支払われていた。これが11月から廃止され、申し出に応じて相当分を無利子で貸し付ける方式に改まる。「修習後は高給を得るのだから当然」と思うのは、どうやら早計。これが司法の先行きに、暗い影を落としているのだ。
 司法試験に合格した法曹の卵は修習生として、各地の裁判所や検察庁、弁護士事務所などで1年間、実務を学ぶ。その間の身分は準国家公務員だ。貸与制に移行しても身分は変わらず、副業は不可。修習中の生活費を自前で賄える人を除き、修習を終え社会に巣立つと同時に300万円前後の借金を背負うことになる。
 それだけではない。法曹になるためには大学を出て原則3年間、法科大学院に通わなければならない。学費は国立系で年100万円ほど。私立系はさらに高く、これに生活費が加わる。本県のように、地元に法科大学院がない地方出身者には交通費や下宿代が上乗せされる。
 日本弁護士連合会が昨年、司法修習生約1500人をアンケート調査した結果、約53%が学生時代に奨学金などを利用。平均320万円で、1千万円台も11人を数えた。消費者金融を利用する修習生も珍しくないという。
 法科大学院は、従来の司法試験が知識偏重で画一的との反省から、法曹界に多様な人材を輩出することを目的に2004年に始まった。その結果、これまで年に500人程度だった司法試験合格者は2千人前後に増えた。
 は、最終的に3千人まで引き上げる方針を堅持しているが、合格者の数が増えるのと並行して、司法修習生の就職内定率は低下している。日弁連の調査によると、7月末時点で就職先が決まらない修習生の割合は43%に上るという。昨年同期は30%。大幅な悪化だ。
 負担の割にリスクが大きいことが影響してか、法科大学院志願者は年々減少。開設当初は50%近くを占めた社会人入学も、08年度は30%を切った。広範な分野から多様な人材を募るという所期の目的は大きくぐらついている。
 給費制廃止は法科大学院設置と同時に04年に決まった。その結果として多くの弁護士が予想するのは、資金力のない人は、法律家を目指すことすら難しい時代の到来だ。
 国費で育成することで担保されてきた使命感も、原則私費では、社会正義よりカネを見る弁護士が増えないとも限らない。日弁連は、その可能性も指摘している。
 貸与制は、日弁連などの運動で施行が猶予されてきた。その間、既に6年が経過。情勢変化を加味して、その妥当性を一から見直すべきだ。
(遠藤泉)

「司法修習生、無給困った 11月、給費制から貸与制 『法曹、金持ちしか…』」
2010年7月22日付 朝日新聞 夕刊9面

 司法試験に合格した司法修習生に国が1年間の研修中の給与を支払う「給費制」が、11月から必要な人に貸す「貸与制」に移行する。これに対し、「法曹の卵」の法科大学院生や弁護士から反対の声が上がっている。だが、移行を阻むには再度の法改正が必要となり、そのハードルは高い。

 「お金持ちではないと弁護士を目指さない世の中になってしまう」。福岡・天神の繁華街。13日昼、福岡県弁護士会の市丸信敏会長らがマイクを手に声を張り上げた。給費制維持を求める署名への賛同を呼び掛け、ビラを配った。

 同会は5月に給費制維持を求める緊急決議を行い、会を挙げて取り組む。全国の司法修習生の約半数に法科大学院の奨学金などで平均約320万円借金があるという。動きは全国に広がっており、大阪や愛知などでも署名活動や集会が行われている。

 弁護士たちには、目先の利益だけにとらわれない活動が成果を上げてきたとの思いがある。だが、司法修習生時代までの借金に縛られ、若手弁護士が理想の活動ができなくなることを懸念する。

 21日夜、福岡市内で司法修習生や法科大学院生を招いた意見交換会を開くと、弁護士の就職難も相まって、先行きの不透明さを訴える声が相次いだ。法科大学院3年の男性(24)は大学生時代からの1千万円近くの借金を抱える。「このまま合格できなかったらと思うと不安が大きい。さらに貸与制になるのでこの先真っ暗だ」と語った。

 一方、昨年末に弁護士になった福岡市の男性(36)は、2008年からの1年間の司法修習生時代に辛うじて給費制の恩恵を受けた世代だ。

 民間企業に就職したが、28歳で一念発起。34歳で司法試験に合格し、法律事務所に就職した。法科大学院時代の奨学金の借金720万円を背負いながら、妻子を養う。債務整理の相談を受けた人の方が借金が少ないこともあった。

 給費制廃止は「自分のように社会人からの転身には厳しい。多様な人材が集まらなくなるのではないか」と話す。

 同会は今月31日午後3時から、福岡市の中央市民センターで給費制維持を目指した市民集会を開き、問題に対して広く理解を得たい考えだ。

 ●日弁連、法改正狙う

 04年に開校した法科大学院制度は、司法試験合格率の低迷もあり、社会人の受験者数は減っているという。2〜3年間で数百万円となる学費負担に加え、給費制が廃止されると、修習中の生活費約300万円が新たな負担となる。

 日本弁護士連合会は世論に訴え、署名や陳情で国会議員にも働きかけ、法改正につなげたい考えだ。

 しかし、社会的な関心が高まっているとはいえず、法務省や最高裁では、「給費制を維持する法改正は厳しい」との見方が根強い。ある法務省幹部は「実際に現場で働く研修医と同じように国費で養成すべきだ、と国民が理解してくれるだろうか」と指摘する。

 ◆キーワード

 <給費制と貸与制> 司法修習生には、修習に専念させるなどの目的で月20万円余の給与と夏冬の賞与などが支給される「給費制」がとられてきた。しかし、法曹人口の拡大を目指す司法改革が進む中で財政負担が増え、他の資格と比べて優遇しすぎだと批判も出て、2004年の裁判所法改正で「貸与制」の導入が決まった。今年11月に採用される新64期の修習生らは家族や住宅の事情に応じて月18万〜28万円を無利子で借りることができる。




「育『給費制』維持求め集会 司法修習生を経済支援、やはり必要」
2010年7月23日付 朝日新聞・宮城版 朝刊34面

 11月で廃止される司法修習生の給費制=キーワード=の維持を求める動きが、県内でも弁護士会を中心に活発になってきた。法曹界だけでなく、市民にも制度への理解を深めてもらおうと、仙台市内でこのほど集会があり、日弁連の宇都宮健児会長や若手弁護士らが必要性を訴えた。(堤之剛)

 今月上旬、東北学院大(仙台市青葉区)の土樋キャンパス。仙台弁護士会などが主催した「司法修習生の給費制維持を求める市民集会」には、弁護士や大学院生ら200人以上が集まった。

 「修習に専念することは大切だと思うが、給費制を廃止されると無収入になる」

 集会で若手弁護士らは、相次いで給費制の維持を求める意見を述べた。

 弁護士1年目で仙台弁護士会の渡部容子さんは、日弁連が2009年11月に実施したアンケート結果を報告。それによると、回答があった新修習生1528人のうち半数以上の807人が、法科大学院で貸与制の奨学金や教育ローンを利用し、平均貸与額は約318万円。中には1200万円借りた人もいたという。

 修習期間中はアルバイト禁止のため、「貸与ということになれば、一方的に借金を背負わされることになる」と渡部さん。さらに、司法にかかわる予算は国の予算の0・4%に過ぎず、司法改革を進めるなら司法予算の拡充が必要だと訴えた。

 同じく弁護士1年目の木山悠(はるか)さんは「多くの弁護士が公益活動に参加できるよう、多額の借金を背負って弁護士活動をスタートするということがないような制度設計が必要だ」と訴えた。

 その後座談会があり、日弁連の宇都宮会長、宮城学院女子大の山形孝夫・元学長、朝日新聞の落合博実・元編集委員がそれぞれ意見を述べた。

 国が戦後導入した給費制について、宇都宮会長は、国と戦うこともある弁護士を資金を出して育てるという点で評価。「(廃止されると)経済的な理由で、夢を断念せざるを得ないという不公平が出てくる。これは日本の人材育成をどうするかという問題で、法制度も国のあり方もゆがむ」と指摘した。

 山形元学長は、差別や人権問題を扱う弁護士を育てるために「金のことを考えなくてもいい時間」を与え、視野を広げてもらうことが必要だと強調。落合元編集委員は「ロースクールに学費がかかりすぎるのは修習生にはダブルパンチ。ロースクールの問題も考えないといけない」と述べた。

 給費制維持のカギは、いかに市民が関心を持つかだという宇都宮会長は「司法は人権に関係ある分野だと身近に感じ、一緒に考えてもらいたい」と呼びかけた。

 ◆キーワード

 <司法修習生の給費制> 司法修習に専念させるといった目的で、国は月20万円ほどの給料と夏冬の賞与を支払ってきた。だが国の財政負担が増え、他の資格に比べて優遇しすぎだとの批判が出て、2004年の裁判所法改正で貸与制の導入が決まった。11月から採用される修習生は貸与制になる。



「膨らむ弁護士 岡山 司法制度改革の影(2) 
“多重債務” 給費制廃止で経済難に」
2010年7月26日付 山陽新聞朝刊15版22面

 4月中旬、笠岡市で34年ぶりとなる法律事務所が看板を掲げた。あるじは同市内に勤務するサラリーマンから転身した谷川篤司弁護士(39)。

 「地域のニーズを掘り起こし、気軽に相談される弁護士でありたい」。第二の古里ともいえる地での活動に意欲を見せる一方で、不安もある。事務所の資金繰りだ。

 学生時代の奨学金返済が700万円近く残る。親の助けを借りて事務所の開設費用を工面したが、業務に必要な判例検索ソフトや専門書籍などが十分にそろわないため、日弁連の支援制度を使い、さらに350万円を借りる予定にしている。

 「それでも自分はまだまし。これから法曹を目指す人は、司法修習中の生活費さえ借金。最初から多重債務状態になる」

貸与制に変化

 11月施行の改正裁判所法は、「弁護士の卵」である司法修習生に国が給与を支払う「給費制」を廃止。生活費を貸し出す「貸与制」へと大きく変わる。

 日弁連が昨年、修習生を対象に行った調査によると、大学や法科大学院に通うための奨学金の利用率は53%。平均借入額は300万円を超えていた。

 弁護士人口の増加で、法律事務所に就職できずに最初から独立する「即独」弁護士が現れる中で、給費制が廃止されると―。

 「『金もなければ、就職もない』という“二重苦”が待ち受けている。金持ちしか弁護士になれなくなる」。岡山弁護士会の妹尾直人副会長は危惧(きぐ)する。

貧すれば鈍す

 経済難が、法律家としての「質の低下」へつながるとの懸念もある。

 司法関係者によると、法曹増員による競争激化で、全国では利益優先で安易に訴訟を起こす弁護士が目に付くようになったという。金融業者から過払い金の回収を依頼した多重債務者が、回収額の大半を弁護報酬として支払わされるトラブルも表面化。日本弁護士連合会が規制強化に乗り出す事態にもなった。

 岡山弁護士会のある若手が本音を漏らす。「多くの弁護士が困った人を助けたいと考えるのは、給費制で国民に育ててもらったという自覚があるから。(廃止されれば)まさに『貧すれば鈍す』だ」

 <社会正義の実現を使命とする弁護士の在り方をも変えかねない>。同会もこれまで2回、改正法に反対する会長声明を出した。

相当な覚悟

 「弁護士は高給取りなのに、(国からの)借金を踏み倒すつもりか」

 6月16日、岡山市・表町商店街。岡山弁護士会有志に交じり、給費制維持を求める街頭活動に参加した山崎健一郎さん(42)=岡山市=に、通行人の男性が素朴な疑問をぶつけた。

 3月に岡山大法科大学院を卒業し、5月に司法試験を受けた山崎さん。100万円程度の奨学金の返済がある上、今後の修習ではさらに国に生活費を借りることになる。男性に対しては思わず「多くの借金を抱えた弁護士に安心して仕事を頼めますか?」と言葉が出かかった。

 「これが世論なんでしょうね。司法の担い手として世に出た暁には、弁護士が社会の中で不可欠な存在だと分かってもらうために微力を尽くしたい。儲(もう)かっても儲からなくても…」。山崎さんはそう言い、言葉を継いだ。

 「でも、そのためには相当な覚悟がいると思う」

=ズーム=

 司法修習生の給費制と貸与制 国は従来、副業やアルバイトが禁じられている修習生に対し、月約20万円の給与と賞与などを一律に支給する給費制をとってきた。だが、今年11月に修習を始める司法試験合格者から貸与制に移行。希望者は月18〜28万円を無利子で借り、修習後10年間で返済する。法曹増員に伴う国の財政負担増が背景にあるとされ、日弁連は2009年に給費制維持を求める提言を発表。各地の弁護士会も署名や街頭活動を展開している。




社説「司法修習生の無給制/多面的に再検討すべきだ」
2010年7月25日付 東奥日報 朝刊3面

 法律家の卵といわれる司法修習生に国が給与を支払う制度(給費制)が廃止され、11月から無利子で貸し付ける貸与制に移行する。

 司法修習は司法試験に合格した人が1年間、全国の裁判所や検察庁、弁護士事務所に出向き、実務の研修を積む制度だ。

 給費制の廃止は2004年の裁判所法改正に伴うもの。修習生は公務員に準ずるとして国は月約20万円の給与を支給してきたが、これをやめ、希望者に基本月額23万円の生活資金を貸与する内容に変える。

 だが、この給費制廃止に日本弁護士連合会(日弁連)や修習生、法科大学院生から反対の声が高まっている。日弁連(宇都宮健児会長)は給費制維持を求めることを決議し、「国民の社会生活上の医師」を養成する法曹制度にするには経済力を問わず法曹へ門戸を開くことが必要と主張する。県弁護士会(沼田徹会長)も緊急決議を出している。

 日弁連が修習生1528人に行った09年調査では53%が法科大学院で奨学金を利用したと回答、借金の最高は1200万円で平均318万円だった。大学院修了を経て司法試験に合格し修習生になり、生活資金の貸与制を利用すれば年約300万円の借金が加わる。

 修習生には専念義務が課されアルバイトは禁止されている。経済力の弱い修習生なら多大な出費は就職難とあいまって重い負担だ。

 司法制度を担う公共的存在となる修習生だ。「幅広い人材を法曹に」が司法制度改革の理念だが、経済的理由から意欲ある人が法曹を目指せぬような社会であってはならない。制度廃止について、多面的に再度、検討していくべきだ。

 制度維持を求める日弁連の小冊子で本県出身の法科大学院生(20代女性)は「弁護士過疎地の青森県の状況を何とかしたいと思い弁護士を目指しているが、大学院の奨学金だけで大変なのに(貸与制で)300万円の借金を抱えスタートするとなると恐怖感がある」と訴えている。減額による制度維持を望む声もある。

 司法制度改革の中、司法試験の受験は法科大学院卒が一つの前提となった。年500人ほどの試験合格者を大学院設置後、段階的に増員するのが目的だった。 給費制廃止の理由も、法曹人口の拡大に伴う財政問題や、弁護士への社会的需要が大幅に増大していくとの見立てからだった。

 しかし、大学院創設から6年。年約2千人の合格者にさえ仕事の場を満足に提供できていない。勤務弁護士の求人は減り多くの新人が借金を抱えながら就職難にある。この状況で報酬にとらわれず生活弱者の人権擁護に向き合うなど社会的正義が実現できるのか。モラル低下への懸念もある。

 給費制では過去、個人の資格取得に国が経費支援するのは問題との批判、将来高収入を得るはずで受益者負担の見地から不要との意見、財政難下、国民理解は難しいとの指摘があった。

 改正法見直しのハードルは高く、容易ではない。

 が、修習生の生活を保障することは国民の権利を擁護することにつながる。法曹養成の在り方を含め給費制など修習生支援をあらためて国会で議論すべきだ。司法の将来を考えたい。


 
CMSならドリーマASP