日弁連・理事会とは、何をするのでしょうか?(8)

日弁連・理事会とは、何をするのでしょうか?(8)
戒告」とは何だろう?



第8回日弁連・理事会(2009年11月17日・11月18日、於弁護士会館1701号)報告


● 第1日目 2009年(平成21年)11月17日(火)午前10時15分〜

【1 常務理事会報告】(午前10時15分〜45分)
懲戒処分効力停止申立の件
申立人 高山俊吉(東弁)、戒告
求意見日 2009年11月2日、決定は却下
決定日  2009年11月9日
 鈴木克昌理事(群馬):却下理由を簡単に。できれば全体的な流れも。
 会長:効力停止の申立については懲戒委員会の結論を見ただけなので詳細は不明。但し,却下の理由は,本案の理由がないとと認めるときと特に損害が甚大かを審査していることからすれば,いずれであろうが,いずれで却下されたかは不明。
懲戒の事案としては,生命保険の約款の適用について病死と判断された請求者が,交通事故死の可能性がないかの調査等を依頼した。被請求者において病院の医師等と面談をして結果を調査するも,その結論を請求者に伝えなかった。請求者が何度も督促しても報告しない状況が続き,保険の時効が迫ってきたことから,自分で病死として請求を行わざるを得ない状況となった。但し,被請求者は,請求者が求めていた保険料を全額支払い請求者とは和解完了。しかし,懲戒相当との判断。
 鈴木:効力停止却下は,形式的理由なのか実質的な判断に立ち入っていてかは分からないか?
 会長:議論内容は分からない。
 鈴木:戒告には執行停止の概念はないと聞くが。それが理由か?
 会長:正確には調査室長から。
調査室長:戒告は言い渡しと同時に執行が完了するので停止ということが観念できない。但し,『自由と正義』の公告を止めるための効力停止の申立が高裁で認められたことがあるが,最高裁では,『自由と正義』への公告は懲戒そのものではなく懲戒制度の効力ではないため,執行停止とは関係ないとされて高裁判断は取消となっている。この点も考慮して判断した可能性はあり。
会長:却下の理由は分からない。懲戒委員会に質問があったことを伝える。


★一言コメント:高山グループのビラの一部を掲載します。
「高山弁護士に対する懲戒の『取消し』を求める署名のお願い」(2009年12月7日)
(この一言コメントは、2009年12月25日に記しました。)

【2 会長挨拶】(資料13の7の2)
 九弁連,四国弁連の各大会,和歌山人権大会などで,各地で心温まるシンポ,大会が実施され,熱心に意見交換がなされた。特に和歌山には大変なご負担をかけ,あらためてお礼申し上げる。この間,日弁連の政治施策の実現に努力を払っているが,扶助シンポに塩崎(自民)・松野(民主)の両議員が出席することに加え,千葉法務大臣の会見時の目標(可視化,人権機関,個人通報)もサポートするが,記者会見等でも可視化の記事になりにくい状態。閣内の足並みの問題もあり,今後も注力したい。法テラスの概算要求は50億積み増しとなり,その後事業仕分けの対象にもならずほっとした。国選報酬における謄写費用の問題は抵抗が強く今後も努力が必要。資料でも分かるように,64期修習生は94名合格で,ペースダウンは定着したかのように見える。世論にも配慮していきたい。

【3 報告事項1 会務報告の件】
細井土夫副会長(愛知県)(資料12の8)
 刑事司法分野を担当。三つのお願いと二つの報告。お願いは/歓請喙瑳堙医療観察法の5年後見直しについての意見を,刑事施設処遇法の5年後見直しについても意見を,12月4日の臨時総会におけるひまわり基金特別会費の減額延長にご賛成を、の3つで、報告は)〔蛎膺辰慮訴時効見直しの答申が行なわれている,∧杆郢諒从濂畫造離璽蹈錺鵐泪奪廚鮑戮く見直す作業を進める・3月までにグランドデザインをまとめる,の二つ。

【4 月山純典理事(和歌山) 和歌山人権大会の感謝についての発言】

【5 法的サービス企画推進センター本部会議】
小林優公副会長(群馬),出井直樹事務局長,飯田隆副本部長,秋山清人副本部長,藤原靖夫研修・業務支援室嘱託
 現62期修習終了者のうち,11月段階では26名の方が弁護士未登録となっている模様。登録予定3名の外,11名程度が就職活動中か(本部会議資料38−1)。現62期弁護士の就業状況アンケート結果(同39−2)も報告。所属弁護士3名までの事務所に45%の修習生が就職,所属弁護士11名以上の事務所に就職したのが27%程度。年収は500万円から600万円が43%程度。600万円以下が64.5%となっている。なお,女性修習生に対する差別的発言「女性は採用しない」等の発言を受けた割合は35.3%となっている。今後適切な対応が必要。
 新62期の登録進達状況は2066名中1714名の状況。裁判・検察に就職する人員を約150名から190名とすると残りは160名から200名くらいの見込み。
 高岡信男理事(東弁)から,二弁が健闘している(276名採用)理由についての質問(川崎達也副会長・二弁会長から二弁の自由闊達な雰囲気と会長の人柄によるものか,詳しい分析はしていないとの回答に爆笑/宮崎会長からあまり役に立たないとのコメント),村井豊明理事(京都)から内定者についての調査結果ついての質問(各会への照会をもとに作成しているとの回答),鈴木克昌理事(群馬)から既に新63期の掘り起こしをしている状態で62期の採用を言うのは困難,群馬などの単位会を希望している人は直接単位会に連絡したらどうかとの意見(関連して,小林優公副会長(群馬)から新63期の「ひまわり求人求職ナビ」の関係で修習生のメールアドレスを集約して欲しいとの要請),また秋山副本部長から偏在対応弁護士養成事務所の募集についても要請あり。養成支援補助として1人100万円,ほかに事務所拡張支援補助として上限200万円の補助を行なっている。各単位会一カ所は対応して欲しい。),高崎暢理事(札幌)から協力事務所とひまわりの過疎偏在対応とどこが違うのか,今後協力事務所は登録することになるのかとの質問(偏在過疎対応事務所が対象地域が広い,今後登手続を準備中),佐野義房理事(千葉)から佐倉支部は管内の事務所だけか,千葉市内の事務所を含むのかとの質問(養成自体は千葉の事務所でかまわない)など。

【6 要請事項3 日弁連会長選挙の執行について協力依頼の件】
田中等副会長(一弁)
説明協力者 角藤和久(かくとうかずひさ)選挙管理委員会委員長(二弁)
 日弁連会長選挙が来年2月5日公示1月6日)に行なわれること。公聴会は全国10カ所。会長選挙実施要領「質問と回答」に警告事例が搭載されているので参考に。弁護士会/連合会は選挙運動は禁止される。はがき/ポスター/ホームページなど注意。

【7 要請事項1 裁判の迅速化に関する法律に基づく検証に係る調査の件】
畑守人副会長(大阪)
(資料17の2の2=事前送付,資料17の2の2の2=17日配付)
 説明協力者 出井直樹裁判迅速化法問題対策委員会事務局次長(二弁)
 最高裁から裁判の迅速化に関する法律に基づく検証のための調査が各地(釧路,高知・須崎,広島・浜田,東京,盛岡,大阪,京都・福知山)等で行なわれる。人員拡充などの基盤整備が求められており,弁護士から見た裁判所の体制など調査に協力して欲しい。

【8 本日の法律扶助シンポへの参加要請「法律扶助の飛躍的拡大に向けて」】

【9 要請事項2 政府発表の「緊急雇用対策」における「ワンストップ・サービス・デイ」の実施の件】
足立勇人副会長(茨城県)(資料42の2の14=事前送付,資料42の2の14の2=17日配付)
 厚労省側から11月30日を「ワンストップ・サービス・デイ」試行実施の指定があり,各地で協力する体制を整えなければならない状況。日弁連としては「年末年越し『雇用と生活』全国一斉緊急総合相談」と連動する相談と位置づけ,相談人員の確保や資金について各自治体とも交渉し確認する必要がある(法テラス指定の法律相談場所としても各地で取り組むように)。
 一方、内閣府自殺対策推進参事官からも,自殺対策の観点から対面型相談事業の実施を呼びかけており,この点での協力も要請されるので取り組みをお願いしたい。
 各地の理事から種々の意見が出される。なお、議論中に,説明協力者の時間の関係で報告事項9が説明される。

【10 報告事項9 日本知的財産仲裁センターのADR認証申請の件】
田中等副会長(一弁)(資料27の4)
説明協力者 林いづみ「日本知的財産仲裁センター」の事業に関する委員会委員長(東京)
 日本知的財産仲裁センターが「裁判外紛争解決手続の利用の促進に関する法律」に基づく紛争解決機関としての認証申請を本年度中に行なうことを,日弁連として承認した旨の報告。認証を取得した紛争解決機関は大阪弁護士会,京都弁護士会などをはじめ43機関に及び,時効中断効やユーザーの信頼性向上などのメリットに対し、特段のデメリットは報告されていない。規則整備は準備されているので,承認した。特段の意見なく,承認。
 以下は,要請事項2の「ワンストップ・サービス・デイ」に関する議論である。
 伊勢昌弘理事(秋田)から11月30日の試行を経た上で12月をやるかどうか決めるのか,やる場合の場所は弁護士会かハローワークか,その費用はとの質問(12月は未定。費用は国から出ない),和田光弘理事(新潟)から11月30日は急遽言われ態勢を組むことが大変であり,今後事前の連絡が欲しいとの意見,小出重義理事(埼玉)から弁護士会は厚労省の下請ではないからこれを断るとどうなるのか,法テラスとの提携以外にないのかという質問(単位会がやらないと言えば仕方がないが司法書士が入ってくる可能性がある。もともとの日弁連提案を厚労省が先取りした面がある。スキームとしての法テラスの利用であり,他には弁護士会が自治体と顧問契約を結ぶ方法がある。),春名一典理事(兵庫)からワンストップは予算がないから法テラススキームで,自殺対策は自治体と交渉せよということか,どちらが優先なのかとの質問(自治体交渉が優先で,法テラススキーム次順位の問題)鈴木敏弘理事(静岡)から静岡としては12月を予定していたが11月やる場合には法テラスの指定相談場所としてハローワークは内諾しているのかという質問(各地方の実情で場所を確認して欲しい),他に,鈴木克昌理事(群馬)から11月30日と12月の両方をやるのがいいのか,小出重義理事(埼玉)から本来政府がやるべきことなのに人を出す弁護士会が自治体と交渉するのはおかしい,村井豊明理事(京都)から既に京都では自殺対策の相談員を先行して派遣している,11月30日の時間や人数をはっきりさせて欲しい,鈴木克昌理事(群馬)から今までの取り組みが継続できるよう新政権に要請して欲しい,武井共夫理事(横浜)から「反貧困かながわ」の取り組みがあり,ハローワークがいいと考えていた,今後これができるように要請して欲しい,小出重義理事(埼玉)から確かにハローワークを使うのは意義があるし重要だが,今回の取り組みには常議員会判断が必要(追認などの便法を。または臨時の常議員会を),厚労省に言われてやるのは自主的な取り組みと異なるから簡単じゃない(我々のアイデアが国に採られたと受け止めて欲しい),自主的にやるのが組織だなど意見が続いた。
 最後に,池永満理事(福岡)からワンストップサービスは重要であり,現在の経済情勢に即応していく必要がある,労働や生活に関わる相談は生存権相談として相談活動を展開すべきであり,福岡では総合的に取り組むための緊急対策本部を立ち上げて,臨機応変に対応しているとの報告があった。

− 昼食 −

【11 経理委員会】(17階1705会議室)

【12 小規模弁護士会協議会】(16階来賓室)

【13  弁護士会館問題理事会内対策協議会】(17階1702会議室)

【14 審議事項6−1 徳島刑務所の医療に関する人権救済申立事件警告書案及び同勧告書案の件】
藤本明副会長(札幌)(資料41の3)

【15 審議事項6−2 徳島刑務所問題に見る刑事施設医療の問題点と改革の方向性に関する意見書案の件】
藤本明副会長(札幌)(資料42の9)
説明協力者 金子武嗣 人権擁護委員会徳島刑務所問題検討プロジェクトチーム座長(大阪)
 徳島刑務所における医療行為に名を借りて行なわれた松岡医師による暴行・虐待についての警告とこれを放置した徳島刑務所への警告,政府への刑事施設における医療体制の抜本改革の勧告などの意見書とその改革の方向性についての意見書案。頭だし,翌日議論。

【16 審議事項3 会長報酬規則(規則第三十七号)中一部改正の件】
事務総長(資料54の3)

【17 審議事項3−2 副会長報酬規則(規則第百十三号)中一部改正の件】
事務総長(資料54の3の2)
 会長報酬規則を改正し,会長報酬を月額100万円の給与とし,賞与を6ヶ月を超えない範囲,退職慰労金を6.8ヶ月に8万円を加えた額を超えない範囲とする件。また,副会長を月額30万円から40万円に増額する件。承認。
 山下哲夫理事(広島)から会長交際費の増額はどうかとの意見,村井豊明理事(京都)から弁連選出副会長への補助を出しているため,日弁連からきちんと報酬を出してもらうと助かるとの指摘,吉峯康博理事(東弁)から会長の退職慰労金よりも月額をきちんと出した方がいいのではないか,副会長の報酬は倍にしていいのではないかの意見あり(交際費に落ちない経費あり,退職金の税金が安いなど説明)。

★一言コメント:東弁、一弁、二弁の役員は有給ですが、ほとんどの単位会の役員は無給です。

【18 審議事項5 法科大学院生及び司法修習生に対する経済的支援を求める提言案の件】
田中等副会長(一弁)
 金子修習委員会委員長から,給費制に関する単位会声明が42になったこと,修習生50人の調査で一人当たり300万から1200万までの借金を抱えていることなど補足説明あり。頭だし。

【19 報告事項11 日弁連テレビ会議全国網への新規加入キャンペーンの件】
塚本侃副会長(熊本)(資料59)
 日弁連テレビ会議全国網の運用を開始しているが,今年度新たに参加する単位会に対して,先着35拠点を上限として,初期費用の補助を行ない,負担額10万円のみとする旨の報告。
 理事からいくつかの質問あり。鈴木克昌理事(群馬)から2カ所3カ所の設置は可能か(可能),松田公利理事(宮崎)から支部に会館がない場合の設置方法,半田稔理事(山形)から個人の事務所に置いている現状の報告や原章夫理事(長崎)から個人の事務所以外に法テラスも可能かなど。(翌日,塚本侃副会長(熊本)から弁護士会が管理できる指定の場所であれば個人の事務所も可能との回答。)

【20 審議事項1 日本弁護士連合会が推薦する最高裁判所裁判官候補者の選考に関する運用基準全部改正の件】
塚本侃副会長(熊本)(資料36の4)

【21 審議事項1−2 最高裁判所裁判官推薦諮問委員会設置要綱全部改正の件】
塚本侃副会長(熊本)(資料36の4の2)
 これまでの最高裁判所裁判官の推薦方式を改め,諮問員会を15名で構成し(東京3会,大阪,各弁連推薦1名及び会長,前会長,事務総長),50人以上の推薦人会員がいれば推薦可能という方式に改める。承認。
 議論としては,50人以上の推薦方式に関する質問〔鈴木敏弘理事(静岡)/50人と50名との違いの意味(特段の意味なし)〕,諮問委員会の議論の透明性確保〔森雅美理事(鹿児島)/公正さの担保のための議論の公開をすべし(あくまで非公式手順の立場で公開はできない)〕と会長の必要的諮問の有無〔小出重義理事(埼玉)/公正さ確保のためにも諮問は必要的にすべき(原則諮問だがそれが必要的とはしていない)〕,いわゆる株問題の解消の可能性について〔村井豊明理事(京都)/4人枠では解消しない(数が増えれば解消しうる)〕などの点に及んだ。


★一言コメント:「最高裁判事推薦選考基準(設置要綱、運用基準)改正案が承認されました。現在の運用は単位会→諮問委員会→連合会のルートで推薦がされるのが原則ですが、これ以外に50名以上の推薦(他会を含め50名で可)をもって、諮問委員会に候補を推薦できるルートが設けられました。この改正は、従来から指摘されている「株問題」(退職判事の出身単位会が事実上後任者の枠を押さえる)の解消になる可能性があると、翌日の朝日新聞の夕刊一面に大きく報道されました。」鷲見和人メモ(岐阜)より

【22 日弁連による修習生の事前研修】
田中等副会長(一弁)(資料34−5−3)75%の修習生が受講予定。

【23 報告事項12 日弁連におけるウォームビズの実施の件】
伊東卓事務次長(二弁)(資料67の4)
室温20度を目処に暖房の室温設定を行なう。

番外編
「11月の理事会は,日弁連主催の民事扶助の拡大を目指すシンポジウムがセットされており,一日目の理事会終了後小雨降る中,近県の理事と連れ立って赤坂の会場まで移動しました。
 民事扶助の現状は,年間予算が約100億円ですが,うち半分は償還金が占め,実質国が拠出しているのは約50億,国民一人あたりにして40数円と寂しい限りです。外国との比較においても,予算額が低いこともさることながら,資力要件を設けて扶助の対象を貧困層に限定しているにもかかわらず,償還制を原則としているのは,世界で唯一といってもよいほどに遅れています(貧困層を対象とするのならば償還を命じるのではなく給付が原則)。
 扶助制度は,昭和27年に東京三会が100万円の寄付を持ち寄って基金を設立して日弁連の乏しい予算で運用するため償還制とされ,5年後に国の資金が入るようになった際も補助金交付のために償還制が維持され,その後償還制は司法改革意見書でも検討事項とされていたものの,法テラス移行時にも見直しできなかったという歴史があります。
 しかし,扶助は,憲法上の裁判を受ける権利の実質的保障でありますし,昨今の雇傭と生活の危機の中で,扶助のセーフティネットとしての重要性に焦点が当りつつあります。この機会に,償還制から給付制への変更を含む扶助の飛躍的拡大を実現する必要があります(セーフティネットとして有用である生活保護申請等各種行政への申請行為が,現在法テラスの本来業務とされておらず,やむなく日弁連が身銭を切って委託事業として運営しているのはご存じのとおり)。
 シンポでは,いくつかの分野から現場の弁護士の報告がありました。労働分野では,労働局には年間24万件の相談と,あっせん事案が8000件あるが,あっせんは強制力がないため解決は三分の二である。未解決事案が扶助を利用して労働審判にまで至らないのは,勝てば良いが勝てなかった場合の費用償還でちゅうちょする実態があるとの報告が,DV・こどもの分野では,DV被害者に多い母子世帯には償還が負担となっている現状が,親の虐待・ネグレクトに対し子どもの代理人になろうとすると,償還義務の判断を子ども本人にさせることができないために償還制が利用の障壁になっているとの指摘が,高齢者の場合にも行為能力に問題がある場合には扶助の利用にとって償還制がやはり大きな障害になっているとの報告がなされました。
 国会議員を含めたパネルディスカッションでは,相対的貧困が6世帯に1世帯,ホームレス1.3万人,自殺3万人という現状からはもっとニーズがあるはずだ。しかし,政治の現場で扶助の拡充がどれだけ真剣に受け止められているかというと,まだまだ議員には遠い課題だ。法曹養成や弁護士のマーケティングも巻き込んだ議論でないと盛り上がらない。第2の司法改革のデザインが必要ではないか。と示唆に富んだ議論が行われました。」鷲見和人メモ(岐阜)より



● 第2日目 2009年(平成21年)11月18日(水)午前10時〜

【1  取調べの可視化実現本部全体会議】
川崎達也副会長(二弁),田中敏夫本部長代行,幣原廣事務局次長
 取調べ可視化に向けた最近の法務省・警察庁の動き及び国会の動きなどについて報告。法務省・警察庁ともに調査費用を計上しており,いわゆる「他の捜査手法とのセット論」を乗り越えて早急に実現したい旨の報告。さらに,実現のための各地の要請行動についても取り組みの要請。
「セット論」に対抗するための議論が多く交わされた。
 月山純典理事(和歌山)から「セット論」でないと行けないというほど情勢が厳しいのかという質問(単純に実現する状況ではない),鈴木克昌理事(群馬)から法務委員会筆頭理事である議員への面談からしても「セット論」のどこが悪いのか議論を聞きたいと言われている,説得材料必要との意見,福原哲晃理事(大阪)から国会議員との勉強会を開くときに議員に理解してもらう必要あり,材料の提供をお願いしたいとの要望(「セット論」の捜査手法はまがい物で冤罪の引き金になりかねない,可視化と関係がない),池永満理事(福岡)から民主党との議員懇談会でも全会派一致での通過を考えているようで,相手がセットにこだわっている以上,問題点を明確にして反論する必要がある,裁判員でマスコミ報道が過熱している今こそ先送りを許さずにマスコミと共同歩調を取っていくべきとの意見(マスコミとの意見交換は重要,11月26日に院内集会を予定),原章夫理事(長崎)としてはセット論が必ずしも浸透していない面もあり誰が言っているのか具体的に把握する必要があるとの意見,森雅美理事(鹿児島)からは12月6日に地元で冤罪撲滅の市民集会を予定し取調べの実態を明らかにするよう市民の声を上げる,連合からも働きかけを強めてもらうとの報告,小出重義理事(埼玉)からセット論打破の資料はいつごろになるのかという質問(小出理事から久しぶりに前向きな意見,早急に取り組む),春名一典理事(兵庫)からも取調べ可視化に組織的に反対している団体が地方議員に働きかけている旨の報告など。

【2 審議事項6−1 徳島刑務所の医療に関する人権救済申立事件警告書案及び同勧告書案の件】
藤本明副会長(札幌)(資料41の3)

【3 審議事項6−2 徳島刑務所問題に見る刑事施設医療の問題点と改革の方向性に関する意見書案の件】
藤本明副会長(札幌)(資料42の9)
金子武嗣 人権擁護委員会徳島刑務所問題検討プロジェクトチーム座長(大阪),松本隆行同委員(兵庫県)
 昨日の頭出しに加え,背景の説明。04年からの刑務所における医師不足が常態化し,人権救済申立が相次ぎ,ついには暴動に至った経過がある。28名が集団告訴し,3年半にわたり,医療行為の名の下に暴行・虐待が放置された問題。最終的には制度改革を急ぐ必要がある。承認。
 地元会の吉成務理事(徳島)から人権救済申立を受けてチームを組んで検討したものの,医療の必要性について明確に判断がつかず警告ができず,松岡医師が更迭されて常勤医師がいないという状況のなか地元医師が診療しているとの報告,岡部光平理事(横浜)から刑事告訴告発の経過はどうなっているか,なぜ刑務所に医師が不足するのかとの質問(08年12月に不起訴,検察審査会を検討中。一般的な医師不足に加え,医師としてのキャリア断絶,予算不足で十分な医療ができないなどの問題がある。),東隆司理事(岡山)から岡山刑務所にも同じ問題がある,なお松岡医師について「さま」との敬称使用はいかがかとの意見,山下哲夫理事(広島)から広島刑務所には精神科医がおらず問題,日弁連は声を上げるべきとの意見,小出重義理事(埼玉)からこんな事件を不起訴にしたのかという驚きの声などあり(人権擁護委員会全体の問題であり,制度としての改革を早急に実現したい)。

【4 理事特別発言 近畿弁護士会連合会 福井啓介理事(京都)】
 11月の和歌山人権大会が成功裡に終わり感謝。広告問題に対して,弁連として一体的な広告を考えている。11月27日の近畿弁連大会を楽しんでもらいたい。
【5 多重債務対策本部】
藤本明副会長(札幌),宇都宮健児本部長代行,新里宏二事務局長
 改正貸金業法完全施行情勢の報告。貸金業規制緩和について日経新聞を中心に報道され,これを受け会長声明・緊急院内集会を行った。単位会の意見書採択は30に上る。付則の見直し規定をもとに,業界が特例などを主張する動きがある。PTの政務官は金利規制引き下げ反対論者。亀井大臣はぶれていない。12月議会に向けた都道府県意見書採択運動について協力してほしいなど。
 「債務整理事件処理に関する指針」の調査依頼とその内容報告など。国民新党から弁護士会の不祥事問題,追徴課税問題,過払い金報酬問題や広告について規制をかけるべきとの指摘がされた。実態調査をお願いしているが,日弁連全体が調査をしなければ国民の理解を得られないのではないか。
 東弁理事から,東弁でもチームを設けて検討している,アンケート事例に対する対処をどうするか,特定された会員に対してガイドライン遵守を求めるが,懲戒権の発動がどういった場合にできるか調査している旨の報告,並びに日弁連はアンケートを回収してどういう活動をする予定なのかとの質問(具体的ではないがガイドライン見直し,職務基本規定への盛り込みや所属弁護士会への情報提供など検討,),村井豊明理事(京都)からアンケート調査分かりにくい,相談者に渡すのか,担当した弁護士が書くのか,相談の全件に渡すのか,どの時点でどのように調査用紙を渡すのか等の質問(弁護士聞き取りが前提,弁護士とのトラブルがあったケースが前提),永井哲男理事(釧路)から12月議会に向けての取り組みであるが,地元の労働福祉団体から地元弁護士会も連名で要請したらどうかという申し入れがある,本部はどう考えているかとの質問(各地の民間団体でも積極的に取り組んでいる。協力していただきたい。弁護士会がかんだ方が採択されやすい。),東島浩幸理事(佐賀)から事例の中には電話相談でさえも弁護士がやっていないケースがあり,ひどいケースでは法律事務所から債務がないかとの電話をしているぐらい,そういう場合には調査の別紙をつけていいのかとの質問(別紙であげてほしい)など。

【6 日弁連中小企業法律支援センター本部会議】
小林優公副会長(群馬),飯田隆委員,吉岡毅委員,出井直樹委員
 今回は,センターの第1回会議,本部長代行等選任については執行部から腹案を提示してお諮りしたい。全員承認。
 小林本部長代行(資料2)から,単位会で対応する組織を作ってほしいとの要請。       
 吉岡事務局長から,提言の3つの目玉について,.魁璽襯札鵐拭次き広報,8修の説明あり。.魁璽襯札鵐拭爾倭換馘一の番号で発信地域の弁護士会に繋がるシステムで,ナビダイヤルというシステム。NTTでは,行政区域と単位会管轄区域が一致しない場合がある。事務局が電話を受け,担当弁護士が相談者に連絡する。2月横浜と愛知で試行する。広報については,アンケート調査等で,法律問題は抱えているが弁護士に相談しない人が多いことがわかっている。裁判所に行く前の段階で相談する人に弁護士があがっていないのが大多数。そのため,広報に力を入れていかなければならない。税理士とあつれきが生じる可能性がある。思っているほど弁護士報酬は高くないですよ!など。弁護士の存在価値を確立する。8修については,ユーザー側の発想に立ち,研修による能力の向上を図る。eラーニングなどの活用。研修教材を作っていく。
 実施方法など具体的な問題について質問・意見が集中した。
 鈴木克昌理事(群馬)からコールセンターに携帯からかかってきた場合はどうなるのか(発信される地域の番号とみなされ処理される),伊勢昌弘理事(秋田)から各会の実情とはなれた広報がされるのか(無理なことは言わない。少なくとも,半年間,初回30分は無料でお願いしたい),秋田で議論したがなかなか協力を得られない,キャンペーン実施は絶対なのか(ぜひともお願いしたい),秋田は難しい(インパクトが強いということで無料相談キャンペーンをする,負担が大きいので半年とした。必須のものとして初回無料相談がある。どうしても難しいという点は個別にお話したい。無理ならば広告に留保をつけなければならない),原章夫理事(長崎)から原則一両日に電話を返すというのはできるだけ速やかにということにしてほしい,税理士が囲い込みをしているところは広報しても難しいし,中小企業診断士は弁護士と連携したがっているため連携を強化することを考えたほうがよい等の意見(部会で,商工会議所等との提携関係を検討することを考えている),高崎暢理事(札幌)から中小企業から相談したいと連絡が入ったら弁護士の方から日時を決めることになっているが,扶助相談では弁護士にファックスが来てこの相談者から連絡があるとなり,相談者から弁護士に連絡を入れてもらう方法である,そのほうが弁護士が忘れたりしなくて確実,1週間以内に相談を設置してほしいというがこれは長すぎるのではないか,3日以内とすべきではないかとの意見(もう一度弁護士に電話してくれというのはたらい回し感がある,弁護士からうかがうというのがよいとなった。すぐ電話を入れるのとすぐ相談を入れるという議論はあったが,3日以内というのはきつくい)。伊勢昌弘理事(秋田)から半年間無料というのは同じ人でも何度も無料になるのかとの質問(同じ人から別の案件が来るかもしれないが,私見として同一事件な無料というくくり),矢吹公敏理事(東弁)から「専門性」を呼称してやるのはどうか,取扱い分野の表示がいいのではないか(広告規定によって判断する),武井共夫理事(横浜)からキャンペーンは周知するということなので,同じ人の相談は同じ事件でも2度目は有料でよいのではないかとの意見,木津川迪洽理事(一弁)から弁護士から連絡がくること自体知られたくない依頼者もいるのではないかとの指摘(弁護士からかけなければならないわけではなく,相談者が自分からかけたいと言ったらそうすべき),伊勢昌弘理事(秋田)から研修について,平井建志理事(滋賀)から商工会と顧問契約をしている弁護士がいる場合の連携について,藤井茂久理事(奈良)から中小企業の範囲についての質問(研修は今後eラーニングで配信する。中小企業の範囲は中小企業庁の定義があるのでそれに準じる。単位会の受け皿は独自の委員会か法律相談センターの一部か。顧問弁護士がいる団体との関係は,個別に検討していただく)等。
 入谷正章理事(愛知)から愛知では「地域弁護士」制度を実施し,顧問弁護士との関係でいうとかなりきめ細かくやっているとの報告あり。
 半田稔理事(山形)から無料相談について抵抗がある,顧問税理士からの紹介では有料相談となるのに,この制度ではなぜ無料なのか意見があるとの指摘,池永満理事(福岡)から中小企業の定義であるが,実際問題これを利用して相談するのは零細企業,政府の中小企業という範囲は広く数千万,数億円の融資を受けるのも中小企業の範囲という指摘あり。
 
【7 意見交換1 裁判員制度に関する件】
山岸憲司副会長(東弁)・武井康年副会長(広島)・荒中副会長(仙台)
(資料18の1の21〜1の22)
小野正典 裁判員本部本部長代行(二弁),幣原廣 同事務局長(二弁)
 10月31日の経験交流集会をふまえ,情報提供として資料をお出しした。今後,被告人質問や被告人の供述調書その他量刑問題などを検討していく必要がある。
 現状について懸念を表明する理事の意見が出た。
 我妻崇理事(仙台)から本来調書裁判からの脱却をめざしていたのに調書先行型の裁判が11件あり問題,今後どうするのか検討が必要との意見(2号書面を作らせないのか,分かりやすい書面にさせるのか問題を検討する),村井豊明理事(京都)から性犯罪被害者の問題を検討する必要がある,近畿弁連大会では決議があげられる見込みとの意見,小出重義理事(埼玉)から裁判員裁判は違憲のデパート,違憲主張のケースの検討についての意見(違憲判断のケースはまだない)や情状証人が出せない状況についての懸念,月山純典理事(和歌山)から複数選任について3人以上にしてもらいたいと言う要望などがなされた。

【8 選弁護対応態勢確立推進本部全体会議】
武井康年副会長(広島)・山岸憲司副会長(東弁)・荒中副会長(仙台)
 佐藤太勝副本部長,山口健一事務局長,栗山学報酬部会部会長

【9 審議事項4 予備費取り崩しの件】
田中等副会長(一弁)・山岸憲司副会長(東弁)(資料19の7の6)
 司法支援センターによる国選弁護報酬調査にかかる費用について予備費2000万円弱の取り崩しの提案。反対意見あるも,多数で承認。
 被疑者国選弁護人の効力が失われた後の事実上の弁護活動について報酬を支払う方策を検討中。
 刑事訴訟法46条の改正により検察に対する謄本請求を検討。
 国選弁護活動の実情調査の回答率向上へ向けての協力要請。
 緊急事態発生時に終える国選弁護関連業務の体制についての報告。
 2010年のスタッフの配置要望について。
 予備費取り崩しについて,激しい議論が交わされた。
 会長からは,過大請求問題に対して迅速に対応し信頼を回復する必要があるとの判断との説明がなされた。
 これに対し、法テラスの事務費を負担することは考えられない,明細についても不明(荒川誠司理事・茨城),弁護士会は筋を通すべきである,法テラスが自前でやるのが当たり前,これを認めれば悪弊となりかねない(小出重義理事・埼玉),国選弁護をやっていない弁護士の立場を考慮すべき(田島二三夫理事・栃木)などの反対意見が出された。
 一方,賛成意見として,早く決着するという政策判断は正しい(半田稔理事・山形),接見もしないで弁護をするというのはスキャンダルで業界の責任で後始末する必要がある,日弁連の負担は当然(櫻井光政理事・二弁),弁護士がきちんとやるとの信頼を裏切った以上信頼回復のために日弁連が金を出してもやるのが筋道(鈴木克昌理事・群馬),弁護士自治が問われる問題(山根祥利理事・東弁)等が出される。なお,今後の調査実行後の問題についてもいくつかの質問がなされた。(略)
 そのほか,国選対応本部の課題・要請について若干の議論があった。

【10 日本司法支援センター(法テラス)推進本部全体会議】
荒中副会長(仙台)
山田庸男 本部長代行,小林元治 副本部長,武藤元 事務局長,村越進 民事法律扶助制度改革推進本部本部長,亀井時子 法律援助事業対応チーム座長・民事法律扶助制度改革推進本部副本部長,彦坂浩一 日本司法支援センター対応室室長
 推進本部からは,ーヾ中期目標・中期計画についての情勢報告,日弁連委託援助業務(法律援助事業)の見直しについて,L瓜法律扶助業務における生活保護受給者の原則償還免除・猶予及び利用促進に関する講習会の実施について,ぞ霾鹹鷆ゞ般海砲弔い董きナ杆郢硫颪繁.謄薀甲亙事務所との連携に関するアンケートなどの報告がなされた。
 池永満理事(福岡)からゼロワン地域に4号事務所を配置する際,有償業務については地元弁護士会の意向を踏まえて欲しいとの要望,小出重義理事(埼玉)から法テラスが資力要件を吟味しないで法律相談を受けていることへの懸念,村井豊明理事(京都)からは法テラスが予算不足で窓口での事件を抑制をしているとの情報の真偽についての質問(政権交代後予算積み増しで対応,補正予算で対応される見込み)など。

【11 審議事項2 憲法改正手続法の見直しを求める意見書案の件】
藤本明副会長(札幌)(資料50の2の1の2)
村越進 憲法委員会委員長(一弁),菅沼一王 同事務局長(東弁),笠松健一 同事務局次長(大阪)
 第7回理事会で頭出しの意見書。最低投票率などかねてからの日弁連の意見を具体的に整理した。どのように執行するかは状況を判断してという前提で承認。

【12 審議事項5 法科大学院生及び司法修習生に対する経済的支援を求める提言案の件】
田中等副会長(一弁)(資料34の8)
再度の議論。
玉城辰彦理事(沖縄)から地方の特殊性・事情に配慮がないのではないかとの指摘,高崎暢理事(札幌)から決議後の運動論が大切であるとの意見,鈴木克昌理事(群馬)から議員の認識不足と制度のイメージをどう持つのかという質問(成績優秀者や教員就職者への免除を参考にする,有利子奨学金の拡充など),鈴木大祐理事(東弁)から執行先の質問(各政党,最高裁,文科省,法務省など),山根祥利理事(東弁)からだめ押しぐらいの説明が必要との意見,岡部光平理事(横浜)から議員への説明事例の報告などが出される。

★一言コメント:「腰の重かった日弁連でもようやく意見を出すことになりました。単に給費制の復活を求めるのでは国民・マスコミの支持が得られにくい現状を考慮して、経済的事情で有為の人材の法曹への途が閉ざされないように、『法科大学院生』+『修習生』に経済的支援を求める提言の構成をとった意見書が承認されました。」鷲見和人メモ(岐阜)より

以上

※この報告は、和田光弘(みつひろ)常務理事(新潟・33期)の正確な作業及び鈴木大祐(だいすけ)常務理事(東京・49期)の詳細なメモ(28枚)などに基づき、吉峯康博常務理事(東京)の責任でまとめた『速報』である。

(2009年12月3日記)


 
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