日弁連・理事会とは、何をするのでしょうか?(7)

日弁連・理事会とは、何をするのでしょうか?(7)




第7回日弁連・理事会(2009年10月20日・10月21日、於弁護士会館1701号)報告


 風邪をひいて長引いてしまい,速報が大変遅くなりました。申し訳ありませんでした。

● 第1日目 2009年(平成21年)10月20日(火)午前10時15分〜午後17時頃

【1 会長挨拶】
(資料12の7の2)
 この間,極めて忙しかった。9月19日から中華全国律士協会との友好協定に基づく,中国での倒産法セミナー,9月25日の関弁連,28日の新政権への要望項目とりまとめの各委員長会議,30日の神奈川パブリック公設事務所の祝賀会,10月1日の法の日の記者会見(談話は資料参照),弁政連による当選議員の祝賀会本人出席75名・代理出席17名,また,各政党党首も弁護士が活躍。その後,スペイン/マドリードでの国際法曹協会(IBA)に参加し,フランスやドイツなどの欧州法曹らと交流。2014年には日本で世界大会を開催することが決定(そのためのレセプションを日本大使館公邸で実施)。仏独では,大きく強い英米法律事務所進出してきているため,結果として法曹増員対抗する態勢をめざしている。一人事務所などでは強制保険による費用増加も懸念され,大事務所化も進行中。土屋,小堀元会長らご逝去。10日には中弁連大会,法律扶助の概算要求で51億の増額。法の日の談話で裁判員裁判にあわせて取調べ可視化を訴えたが,マスコミの取り上げ方が少ないので,今後工夫が必要。
 ★一言コメント:宮崎誠会長と吉峯康博理事(東京)との雑談では,この一年で中国では約32万人が司法試験を受験しており,約8万人合格したという。人口は日本の約10倍とはいえ驚くべき数字です。

【2 報告事項1 会務報告の件】
川崎達也副会長(第二東京)(資料12の7)
 会議,行事などは会長挨拶及び資料記載の通り。外弁問題における混合法人の意見書を9月17日に承認いただき,今後は不当な干渉行為の排除について会則を検討する予定。9月18日にはオーストラリアのパースにて,「国際金融危機の衝撃と各国法曹の対処」に関して議論し,自分も「国際金融危機と日弁連の活動」というテーマで講演させられ,内容はともかく大きな声で目を見てスピーチ。好評であった。スペインの会議では,会長が各国法曹と情報交換ができるようにテレビ会議などのツールを共有しようと働きかけていたのが印象的。
宮崎会長:申入れはスペシャリスト(刑事弁護や人権など)の意見交換,実情調査のこと。
 ★一言コメント:川崎達也弁護士の英語の演説は素晴らしいものだったと思います。心意気と度胸がすごいと思います。日弁連会長の英語の演説の例として,阿部三郎元日弁連会長(国連世界人権会議,ウィーン,1993年,いわゆる従軍慰安婦問題について,『自由と正義』1993年11月4〜158頁),故土屋公献元日弁連会長(国連世界女性会議,北京,1995年)などがあります。阿部三郎元日弁連会長の演説は,NHKの朝のテレビニュースで放映されました。

【3 高崎 暢 理事(札幌)の特別発言】
 当会副会長の覚せい剤事犯で弁護士に対する信頼失墜のご迷惑をおかけしたこと深くお詫びする。直ちに対応し,脱会防止のために懲戒申立を行なうとともに,常議員会決議をあげ,全員集会を行った。今後は,信頼回復のために全力を尽くす所存である。

【4 多重債務対策本部】
藤本 明 副会長、宇都宮健児本部長代行(本部議題資料)
 改正貸金業法完全施行に向けた動きに関して,亀井大臣に要請し,完全施行の意向を確認した。院内集会なども予定している。また,各会で会長声明・自治体決議などの取り組みを強めて欲しい。
 「債務整理事件処理に関する指針」についてのアンケート実施の準備をしているところだが,個人情報保護との関係も検討中。民間団体も実態調査の動きが広がっている。

 村井豊明理事(京都)から,NHKの日曜番組で貸金業法の完全施行によりヤミ金から借入する人が増えてしまうことになると言うひどい内容の放送が行われたので対応すべき,∈E戮了愎砲鮴脱するために,面接用の弁護士を一件いくらで募集し始めているので注意を促して欲しいとの意見。
 森泉邦夫理事(長野)から民主党の議員で過払い請求を抑制するとの意見が出ているとのことだがどういうことかの質問(園田議員から弁護士が過払いをとりすぎているので本人請求を原則にという意見が出たが,現状ではその動きはない)。
 そのほかに,小出重義理事(埼玉)から東京の事務所が埼玉県内に顧問10万円・面接2万円で債務整理指針に合わせるための弁護士を募集していること(ガイドラインの意味大きく反応している,多重債務者の更生を主眼にさらなる規制を進めたい),池永 満理事(福岡)から九州3県の弁護士・司法書士120名に対する脱税追徴3億5000万円の報道がなされていることの情報提供,山下哲夫理事(広島)からガイドライン違反に懲戒がないまま検討しますという対応だけでは不十分で早めに動くべしとの意見(宮崎会長からも悪質事例を知らせて倫理コードを示す必要があるとの指摘)。

【5 要請事項3 全面的国選付添人制度実現本部の件】
足立勇人副会長(茨城) (資料21の9=20日配付)
説明協力者=角山正全面的国選付添人制度実現本部本部長代行(仙台),須納瀬学同事務局長(東京)
 本年度は,被疑者国選事件の対象拡大後,少年に被疑者国選が付いても,家裁送致後は置き去りにされ付添人が付かないため,各単位会の努力により弁護士付添人が選任される態勢を拡大してきた。一定の成果を評価できるものの,今後,全件付添いの少年法改正を視野に入れて世論を盛り上げていきたい。そのために,会内キャンペーンとして会長声明をあげてもらいたい。
 資料2に会長声明のモデル案あり。

【6 審議事項6 排出量取引制度の具体的制度設計に関する意見書案の件】
行田博文副会長(高知) (資料49の6,資料49の6の2) 
説明協力者=浅岡美恵公害対策・環境保全委員会特別委嘱委員(京都)
 日弁連は,2006年11月22日付「地球温暖化防止対策の強化に向けて」及び2008年9月18日付「排出量取引制度に関する意見書」において,「義務参加型キャップアンドトレード排出量取引制度」の導入を求め,2009年5月8日付け「気候変動/地球温暖化対策法(仮称)の制定及び基本的内容についての提言」においてその骨格を示してきたが,政権交代に伴い,大幅な削減目標達成のために本制度の具体的な提言を行なう。
 対象主体を会社単位ではなく工場単位のきめ細かいものにすること,直接排出業者として発電所を対象にすること,排出枠の割当をオークション方式を原則に,取引が柔軟に行なえるよう枠の貯金(バンキング)や借入(ボローイング)方式も導入すること,遵守期間を1年として,枠取引による収益を対策費として有効活用し,さらには報告・検証を行なうことなど具体的に提言。
 宮崎会長から自動車製造を例に規制単位の質問や山下哲夫理事(広島)から森林保護による削減効果についての質問あり。

 − 昼 食 −

☆経理委員会 ☆小規模弁護士会協議会 開催

【7 理事特別発言
 埼玉弁護士会 発言=小出重義理事(埼玉)(資料1の3の2=20日配付)
 県内の若手弁護士を中心に,弁護士が刑事弁護などで帰る場所のない被疑者・被告人が再犯をおかさないように,釈放後の一時的な居所の確保を行ない(30日間の利用),長期的な住居確保の支援を行なう制度を発足させた。資料は「社会復帰支援委託援助制度運営規則」やマニュアル。社会福祉士の助力とNPO法人の協力を得て実施している。発足のための資金は寄付で集め,100万円を予定していたが,200万円集まった。各会で参考にして欲しい。

【8 法的サービス企画推進センター本部会議】
小林優公副会長(群馬),出井直樹事務局長,飯田 隆 副本部長
修習生就職支援
 現行62期修習生では,全体354名中,弁護士登録306名,任官7名,任検11名,弁護士未登録者30名の状況。新62期は登録請求進達予定が1641名(資料差し替え)。任官者を180名に推定すると,およそ200名が未定か。
 ひまわりナビの参加者が伸び悩みの状況。単位会に働きかける。12月16日の東京3会の説明会には39事務所・19企業が参加の予定。政策担当秘書は14名に付いて採用マッチングにはいる。
 11月9日に仙台で組織内弁護士のセミナーを行う予定。

【9 審議事項4 日弁連中小企業法律支援センター設置の件】
小林優公副会長(群馬)(資料32の5)
  中小企業法律支援センター設置要綱について説明。中小企業による法的サービスの利用促進,組織的・全国的な法的サービスの提供による中小企業支援体制の確立・発展のための方針検討。
 日弁連で広報とコールセンター(統一番号0570−001−240による地域への自動振り分けと当番弁護士方式による弁護士紹介)システムを実施する。開始後6ヶ月はキャンペーン期間として初回面談相談30分無料とし,その後は初回面談30分5250円とする。2010年4月1日実施予定。承認,ただし数名の反対あり。
 我妻 崇 理事(仙台)から中小企業では弁護士を必要とする分野は資金繰りや負債整理などであってどのように対応するのかという質問(倒産防止のための相談や事業再生のための研修などによるアドバイスをしてもらいたい),平嶋育造理事(山梨)から|羮企業相談担当弁護士のイメージについてと単位会の実情では中小企業相談を別枠で扱えるかどうか疑問との質問(下請法の研修などを受けてもらった弁護士をイメージするが表示の区別は困難,また単位会の実情に応じた相談態勢でいい),田島二三夫理事(栃木)から半年間無料とした後の継続相談の扱いはどうなるのかという質問(基本的に地方会の実情に応じた相談態勢をお願いしたい,個々のケースについての議論は未了)。
 半田 稔 理事(山形)から基本的に事業者は自己負担で良いし,やってみても110番相談もほとんどなかったし,コールセンターを地方で維持するのは負担との反対意見あり。

【10 審議事項7 「中小企業倒産防止共済制度の今後のあり方について中間報告」に対する意見書案の件】
小林優公副会長(群馬)(別紙32の5の2)
 中小企業の連鎖倒産を防ぐために,倒産による回収不能債権相当額の融資の条件として,「任意整理」の条項を加えるにあたり司法書士または司法書士法人は認定司法書士であることを明記させることと,執行不能の場合加えること(中小企業倒産防止共済法の改正)と言う意見書案。
 なお,そもそも140万円以下の倒産が現実的には考え難いので,司法書士による任意整理を条項に加えないと言う大阪弁護士会の意見もある。 承認。

【11 消費者行政一元化推進本部】
藤本 明 副会長(札幌),中村雅人本部長代行,石戸谷 豊 事務局長
 消費者庁・消費者委員会の現在の状況報告。

【12 報告事項11 国会に消費者問題に関する常設委員会等の設置を求める要請書の件】
藤本 明 副会長(札幌)(資料44の8)

【13 審議事項5 消費者行政一元化推進本部設置要綱廃止の件】
藤本 明 副会長(札幌)(資料44の1の2)
承認。

【14 審議事項2 裁判所の処置請求に対する取扱規程(会規第七十三号)中一部改正の件】
細井土夫副会長(愛知)(資料5の8=事前送付)
 平成19年通常国会における「犯罪被害者等の権利利益の保護を図るための刑事訴訟法等の一部を改正する法律」の制定により,刑事訴訟法条項の改正があり,これにともなう裁判所の処置請求に対する取扱規程(会規第73号)の改正。今回を契機に会則が未整備の単位会では整備をお願いしたい。承認。

【15 審議事項10 「損害賠償等消費者団体訴訟制度」要綱案の件】
藤本 明 副会長(札幌)(資料44の5の2)
 前回の第6回理事会において,適格消費者団体の訴訟報酬条項が削除されたことに伴う修文と訂正。訴訟費用,執行費用等の実費補償を認め,同団体が弁護士に支払った報酬についての留意を求めたもの。承認。

【16 審議事項8 弁護士常駐型公設事務所協定書案の件】
細井土夫副会長(愛知)
(1)宮崎県西都市 (資料33の1の4) 承認。
 村井豊明理事(京都)から奄美事件をふまえて協定書の変更は行われているかとの質問(連合会,単位会,弁連の協定書は変更していないが,弁護士の選定契約書は変更する)あり。

【17 報告事項8 奄美ひまわり基金法律事務所の件】
細井土夫副会長(愛知)
(資料33の6〜6の3/33の6及び33の6の7は理事会限りの取扱い注意文書)
 奄美ひまわり基金法律事務所の初代所長(現在,静岡県掛川市)の同事務所の業務運営・事件処理に関するワーキンググループの中間報告。同弁護士に対しては,懲戒請求が提出されている。
 兵庫・春名理事から各ひまわり事務所の経営状況の報告についての質問(一定の報告はなされ手持ち事件の数の把握はできていたし、関心は事件数が少ない場合に向いていた),金子武嗣理事(大阪)から日弁連の監督責任や不法行為の問題が発生しないかとの質問(深刻な議論ではあるが,支援はしても監督まではしていないとの立場),福井啓介理事(京都)からは弁連への報告や単位会への報告の状況についての紹介,高岡信男理事(東京)からは預かり金の開示請求は規定上可能となっていないかとの質問,これに対し、森 雅美理事(鹿児島)から鹿児島弁護士会に開示可能の規程がない旨の説明あり。

 − 休 憩 −

【18 審議事項9 司法試験の合否判定に関する要望書案の件】
塚本 侃 副会長(熊本県)(別紙34の7)
 司法試験の合格水準の検証が可能となるように必要な情報開示を求める要望書。合格水準答案の基準における内容と程度に関する情報やボーダーライン答案,さらには合格水準に関する意見交換の議事録などを公表することを求めるもの。 承認。

【19 審議事項1 全国弁護士会災害復興の支援に関する規程中一部改正の件】
藤本 明 副会長(札幌)(資料5の7(再配付))
 第6回理事会で議論したもの。長崎会の要請により今回審議。内容としては,規程中,第1条の「円滑な災害復興活動の遂行に寄与する」という表現を「被災地域の市民の人権を擁護する」に改め,支援対象に「被災地弁護士会」を明記するというもの。承認。
 原 章夫理事(長崎)から,会内の意見交換で一部会員から「市民の人権擁護」では「災害復興」の趣旨が含まれると思えないとの指摘があり,先回再度の審議を要請したが,当該会員もこだわらないとの意見を出されているとの報告。

【20 要請事項5 司法修習生の選択型実務修習期間中の就職活動に関する件】
田中 等 副会長(一弁)(資料34の1の2)
 選択実務型修習期間における修習生の就職活動に対して,各事務所としては平日ではなく,土日などの修習生の休日における対応を要請するとのこと。就職活動を理由とする欠席は認められていないことによる。

【21 報告事項4 成年後見制度に関する取扱いについてのアンケートの件】
荒 中 副会長(仙台)(資料47の3,資料47の3の2)
 成年後見制度における後見人等の職務において,金融機関の求める手続が統一されておらず,取扱いにおいて不合理な面もあるため,アンケートを実施し,各金融機関に取扱いの検討を促すためのもの。選任時の口座開設,入出金手続,本人死亡時の扱い,各金融機関の教育体制などを問題にしている。

【22 報告事項9 司法修習前研修(事前研修)の件】
田中 等 副会長(一弁)(資料34の5の2)
新63期司法修習生採用予定者を対象に,司法修習開始前に修習の全体像を紹介するとともに,実務修習に備えるための事前研修を,最高裁や法務省の協力も得て,ライブ講義として11月19日(木)と,20日(金)に行ない,その後はeラーニングシステムとして受講できると言うもの。

【23 報告事項10 第52回人権擁護大会宣言案の件】
行田博文副会長(高知)(資料43の2の13〜14)
 資料42の2の13は「地球温暖化の危険から将来世代を守る宣言案」で,新政権の発表に伴い一部の文言を修正するもの。
 資料42の2の14は,「取調べの可視化を求める宣言案」で,新政権の発足に伴い,可視化の導入とともに新しい捜査手法の導入についての議論がなされていることを牽制する内容を付加。

【24 報告事項13 一般社団法人弁護士協会の件】
伊東 卓 事務次長(別紙70)
 「一般社団法人弁護士協会」の名称を使用している同団体と同団体の代表者である会員に対し、日弁連会則30条1項に基づき,「弁護士協会」の名称使用の禁止と同名称使用による活動の停止,名称の変更などを求めている件の報告。
 大阪・金子理事から弁護士法74条に抵触する可能性について指摘あり。
 最後に,宮崎会長から,中国でも法曹の質の低下の議論はあるものの,合格者を8万人に増やし,弁護士(律師)を社会にゆきわたらせるとの意気込みがあるとの紹介あり。

− 終 了 −

● 第2日目 2009年(平成21年)10月21日(水)午前9時〜午後1時頃

【1 要請事項1 求職者総合支援センターの運営に関する件】
足立勇人副会長(茨城県)(資料42の2の12) 
 厚生労働省が進めている「求職者総合支援センター」の取り組みにつき,各単位会で,同センターと協議の上,弁護士がその相談に関与する体制を構築するよう働きかけて欲しいとの要請。協定書や顧問契約などを結んで欲しい。

【2 要請事項6 年末年越し雇用生活』全国一斉緊急総合相談」の件】
足立勇人副会長(茨城県)(資料42の2の13)
説明協力者=中村和雄貧困と人権に関する委員会委員(京都)
 本年12月1日(火)から12月25日(金)までを目処に,各単位会で1週間程度集中的に上記相談会を開催することの要請。法テラスや厚労省,総務省に共催を要請。各会に対し、10万円を上限に費用を負担。
 こうした各単位会での緊急総合相談窓口への取り組みを通じて,今後自治体と連携した恒常的な相談窓口(労働と生活の問題のための総合相談窓口)の設置をめざす。
 矢吹 公敏理事(東京)から研修に参加できない弁護士のためのビデオの配布要請と取り組みの目的についての質問(恒久的な相談窓口設置のためのとっかかり),鈴木克昌理事(群馬)から7月の相談会でも労働局の後援について上層部の確認が遅れ,広報が間に合わず有料広告を行なった状況で,もっと早く進めないと間に合わないとの指摘(厚労省への後援はお願いするし前例があるので今回はスムースに行くのではないか,広報に工夫が必要となっている,知り合いの記者やテレビへの依頼を是非お願いしたい)あり,そのほか,玉城辰彦理事(沖縄)からセンター一覧の中で沖縄県が抜けていることの指摘と前回の相談会でもはかばかしい成果が得られなかったとの報告,鷲見 和人理事(岐阜)から単位会の若手グループが活躍していることと法律扶助などをまとめて行なう方式で対応するとの報告あり。

【3 要請事項4 労働審判制度に関するアンケート調査の件】
足立勇人副会長(茨城)(資料29)
 説明協力者=鵜飼良昭労働法制委員会副委員長(横浜)
 労働審判の利用者は毎年増えており,平成20年2052件に対し、同21年では現在で3700件を超えている。司法改革の中でも,成功した改革であり,裁判所の協力を得て,利用者及び代理人にアンケートを実施し,さらなる改革の資料としたい。各単位会において,アンケート実施に協力してもらいたい。また,利用者アンケートの実施方法については裁判所と協議してもらいたい。
 高崎 暢理事(札幌)から代理人弁護士を通じて利用者本人にアンケートを書いてもらう方法をとったらどうかとの意見(代理人のバイアスをかけずに利用者本人の本音を聞くことに意味があり,そのため裁判所を通じて行なうとの説明,返信用封筒も弁護士会から裁判所に渡してもらう予定),半田 稔 理事(山形)は,支部で実施していないことなどから山形では代理人が付いていないケースが多いとの指摘(支部での実施も検討してもらう目的もある),玉城 辰彦理事(沖縄)から沖縄では第1回が入るのに3ヶ月以上も停滞しており問題となっているとの指摘(原則は第1回が40日以内となっている,審判員の増員や代理人が付く体制など検討する必要がある)あり。外にも山元 浩理事(山口)から支部での未実施を問題にする意見,鈴木 克昌理事(群馬)からアンケート項目についての確認などあり。

【4 審議事項12 第5回政府報告書に対する国際人権(自由権)規約委員会総括所見についての日本政府フォローアップ・レポートに関する要望書案の件】
細井土夫副会長(愛知)(資料52の1の2,3,3の2)
説明協力者=海渡雄一刑事拘禁制度改革実現本部事務局長兼国際人権(自由権)規約問題ワーキンググループ副座長(第二東京)
 2008年10月30日に出された国際人権(自由権)規約委員会の総括所見に対する日本政府のフォロー・アップ・レポートは今年の10月末が期限であるものの,政権が交代したこともあり,新政権として十分検討した上で出して欲しいとの要請を行ない,さらに,日弁連として,同レポートに具体的に盛り込んで欲しい内容を指摘する。一つは死刑制度の改善について必要的上訴制度や執行停止,弁護士との無立会面会の保障など,二つは代用監獄制度の廃止の方針と秘密交通権の確立,任意同行時からの弁護人選任権,捜査機関保有証拠の開示,保釈制度の改善など。三つは取調べの法的な規制と録画,違法自白の排除,四つは,死刑確定者の処遇改善などを求める。
 吉峯康博理事(東京)から任意同行からの弁護人選任権について現行の捜査手法に照らし要望案を積極的に指示する意見,また追加的に関連する書籍の紹介(日弁連編『日本の人権保障システムの改革に向けて−ジュネーブ2008 国際人権(自由権)規約 第5回日本政府報告書審査の記録』(現代人文社 2009年9月20日 222頁 3000円+税金 人権大会で販売の予定),小出重義理事(埼玉)から法曹三者への国際人権法研修について埼玉での取り組みを紹介の上日弁連や単位会でも同様に取り組むよう要請する意見などあり。

【5 理事特別発言 中部弁護士会連合会 発言=黛千恵子理事(福井)】
 10月16日に開催された中部弁連大会のシンポ「我らと生き物の未来」について概要を紹介。生物の多様性が失われていくことへの警鐘と生物多様性条約の取り組みなど。2010年, 名古屋市で国際会議(COP10)の予定。また,堂本暁子前千葉県知事の講演でシンポの報告書が「たからもの」として激賞されたことなどに触れられる。今後,市民と行政が協働して持続可能な社会システムを作り上げていくための地域戦略が必要との認識。
 次に,日弁連理事が現在2名という状況で,3%以下であるとの指摘から,男女共同参画社会推進のための目標値をふまえて,各単位会で女性会員に機会を提供して欲しいとの要請。

☆ この段階で行政刷新会議に日弁連から送り込む2名の若手弁護士(56期,60期)の紹介。

【6 報告事項7 日弁連が提案する当面の重点政策の件】
丸島俊介事務総長(資料16の3)
 民主党政権に対し,日弁連が掲げる重点施策を4項目に整理して提案。第1に透明で公正な行政の実現,第2に冤罪を生まない刑事手続改革,第3に市民の暮らしと権利を守る,第4に司法・法曹の役割と機能の拡大(この中に司法修習生の給費制継続要請あり)など。
 宮崎会長から新政権の意思決定の仕組みをふまえ同実現していくのか各委員会に検討を要請しているとの報告,丸島事務総長から各委員会で政務官に直接要請することを検討,通常国会の期間をにらんで重点的に接触する予定などの報告。
 これらの報告に対し、各理事から意見あり。
 東島 浩幸理事(佐賀)から新議員から給費制などについても理解を得ているが日弁連がどう要請するのかなどと言われている状況についての報告,山根 祥利理事(東京)から行政刷新会議に若手を出すことはいいものの,大切なのは新人議員をはじめ日頃の接触であり要請であるから,立法対策室の活動や委員会の活動など各自で分担すべきだし,その仕組みが重要との意見あり。小出重義理事(埼玉)から裁判員裁判の検証と法曹人口適正化は必須の課題であり重点項目に入れるべきとの意見あり。

【7 意見交換1 裁判員制度に関する件】
山岸憲司副会長(東京),武井康年副会長(広島),荒 中 副会長(仙台)(資料18の1の20)
説明協力者=幣原 廣 裁判員本部事務局長(第二東京)
 裁判員裁判の各地の進行状況の概括的報告。大阪,千葉が突出している状況。
 各理事から現在状況の報告あり。
 藤本 邦人理事(香川)から裁判員裁判の公判に弁護士会の傍聴席の確保の件に関して検事正が食い下がっており日弁連としての方策を求める質問,これに対し、黛 千恵子 理事(福井)から公式的な申入により弁・検各2席の確保が可能となった旨の報告,高崎 暢理事(札幌)から弁・検各1席の確保の報告,佐野義房理事(千葉)からも確保の報告,池永 満理事(福岡)からは自力による確保(5席)によって市民の関心も高まっているとの報告,小出重義理事(埼玉)から個別事件の交渉により事実上の傍聴席確保の報告,さらに,高崎 暢 理事(札幌)から記者会見席を弁護士会が提供することにより弁護士の取材傍聴が可能との報告,池永 満理事(福岡)からの二次的取材における弁護士会館の提供による詳細な裁判員の感想取材が傍聴可能との報告など。なお,森泉邦夫理事(長野)から長野の殺人事件の記入漏れについての指摘あり。
 その後,裁判所の情報提供のあり方についての報告あり。’次報告書,月次報告書の外に,8鎚婿件の結びつきが分かるような「生データ」(raw data)に関するアンケートの報告を行ない,各弁護士会で検討材料とできるような情報提供を行なう用意がある旨公表されているとのこと(行政機関の保有する個人情報保護に関する法律との調整中)。

【8 日本司法支援センター(法テラス)推進本部全体会議】
荒 中 副会長(仙台),山田庸男本部長代行,小林元治副本部長,武藤元事務局長,村越進民事法律扶助制度改革推進本部本部長,亀井時子法律援助事業対応チーム座長・民事法律扶助制度改革推進本部副本部長,彦坂浩一日本司法支援センター対応室室長
 情勢報告については「法テラス予算ピンチ」の報道もあり8月末で51億円の増額要求となっている。日弁連委託事業の事業計画も事件増加により見直しが必要。基金から2億円を取り崩し,さらに予備費から1億円を出す必要がある。各地の贖罪寄付の状況も思わしくない。11月17日(火)には「法律扶助の飛躍的拡大に向けて」のテーマでシンポジウムを開催するので参加を。
 その他として,先回,法テラスから出ている情報提供のあり方の検討(.魁璽襯札鵐拭爾暴弧鵑垢襦き⊂霾鵑亮舛鮠紊欧橡[Я蠱姪にする)に関して推進本部の意見書(地域の利用者の利便性を重視する,情報提供は適切な相談機関への誘導)を出しているが,地域によっては,現状の繁忙さから情報提供の集約に賛成する意見も出てしまっている。各地における法テラスの所長や推進本部において,本部意見書を参考にして欲しい。
 また、法テラスのテレビコマーシャルの問題について,調査したが,情報提供に関するコマーシャルであって,誤解は少ないのではないかという結論になった。
 鈴木 克昌理事(群馬)から情報提供のあり方に関して推進本部としてはコールセンターに集約したいのか地方窓口を重視するのかという質問(コールセンターへの集中に反対,また情報提供は法律相談にならないようにと考えている,コールセンターの相談件数は40万件に伸び相談機関の誘導も弁護士会が21%),高崎 暢理事(札幌)から|亙事務所の意見の内容を各単位会に知らせて欲しい⊃篆碧槁瑤両霾鹹鷆,里△衒に関する意見は賛成だが日弁連として法テラスの位置づけやデータに基づく意見集約をきちんとすべきとの意見(データは開示している,情報提供のあり方については地方事務所とコールセンターの役割分担,電話相談のあり方など論点を整理して議論をしているつもり),小出重義理事(埼玉)からコマーシャルには資力要件を満たす人のみに扶助を行なうと言う点の明示がない,日弁連はきちんと整理すべき,また資力要件を欠く人の契約弁護士による直受も問題との意見,これに対し、櫻井 光政理事(二弁)から法テラスの情報提供そのものは総合法律支援法の趣旨(法30条1項1号法律制度情報の提供と適切な相談機関の紹介)に基づくもので理事の中でも誤解がないようにして欲しいし,コマーシャル自体は情報提供に限ってやっているわけだから扶助の情報を出すのは逆に情報量が増えてかえって不適切だとの意見が出される。
 さらに,吉成 務理事(徳島)から地方でコマーシャルを見る限り紛らわしいし,やはり法律相談そのものが法テラスの事務所に流れてしまう,現実に当会でひまわり事務所と法テラス事務所が併存している地域では法テラス事務所に相談者が多く,ひまわり事務所は法テラスの仕事をもらう状態となっているとの意見,池永 満理事(福岡)からは法テラスの広告は情報提供ではなく,むしろ法律扶助の拡大の視点に立つべきじゃないか,そのうえで契約弁護士の事務所自体をアクセスポイントとしてもっと一般の方に知らせる工夫をすべきとの意見が出される。
 荒副会長からは推進本部としてブロック協議会でも取り上げたいとの回答や宮崎会長から法テラスとひまわりの役割分担など検討した方がいいとのコメントあり。

【9 国選弁護対応態勢確立推進本部全体会議】
武井康年副会長(広島),山岸憲司副会長(東京),荒 中 副会長(仙台)
佐藤太勝副本部長,山口健一事務局長,栗山学報酬部会部会長

【10 要請事項2 被疑者国選弁護報酬に関する日本司法支援センター(法テラス)調査の件】
山岸憲司副会長(資料19の7の5)

【11 報告事項6 刑事施設等における被疑者国選弁護事件接見の疎明資料及び面会申出書の件】
山岸憲司副会長 (別紙19の7の4)
 資料19の7の4により,刑事施設等における接見疎明資料の様式が固まった。2009年12月1日から始まり,1月30日までが猶予期間で,2010年2月1日からは完全実施となる。別紙3の「未決拘禁者(被疑者等)面会申出書」は,刑務所長の権限でどこまで書かせるのか決まるので,各地の単位会で刑務所側と協議をして欲しい。また,これを機会に従来の書式を変更し,被疑者国選用の本書式に統一する可能性もあるので,その点も確認して欲しい。なお,留置施設と違い,刑事施設では持ち帰りができないので,すべてその場で記入する扱いとなる。
 さらに,被疑者国選の水増し請求に関する第二次調査を実施することになり,その概要を資料19の7の5に記載してある(2006年10月から2008年10月までの間で接見3回以上のケースとそのうち,接見回数に不一致が発生した弁護人の全件)ので,会員への周知をお願いしたい。
 国選報酬改定のために弁護活動の実情調査を実施するので協力して欲しい。
 被疑者国選拡大後の対応態勢は何とかしのいでいる状況。
 なお,当番弁護士制度の一覧表については各単位会で内容に間違いがないか点検して欲しい。
 正木靖子理事(兵庫)から少年が少年鑑別所で勾留されているケースは対象事件かとの質問(対象事件である),鈴木 克昌理事(群馬)から別紙3書式中の「呼称番号」の意味についての質問(被疑者氏名黙秘などの場合が想定される),半田 稔 理事(山形)から別紙3の書式の変更はないのかという質問(変更はない,記入の範囲について協議が必要)あり。
 そのほか,藤井 茂久理事(奈良)から第2次調査の判明時期についての質問(年度内か)や平嶋育造理事(山梨)からの調査の結果接見回数ゼロのケースの対処方法についての質問(今回調査とは別の問題)など。山下哲夫理事(広島)から第二次調査について会員の心情を害するので知らせたくないとの意見も。

【12 審議事項1 憲法改正手続法見直しを求める意見書案の件】
藤本 明 副会長(札幌)(資料50の2)
説明協力者=村越 進 憲法委員会委員長(第一東京),菅沼一王同事務局長(東京)
 2007年5月に成立した憲法改正手続法に関して,来年5月の見直し時期が迫る関係で,日弁連として改正内容についていくつか意見を提案するもの。今回は頭出しで,次回理事会で決定したい。注目点は,国民に対する情報提供について公平と費用負担の関係で見直しを求めるものと最低投票率と「過半数」の母数の解釈など。
 宮崎会長から,広報協議会の構成や過去の経緯などの質問と確認が行なわれ,菅沼事務局長から資料をもとに説明。
 村越委員長からは,意見書の承認をいただいた上で執行時期などその方法も含めて執行部と検討したいとの説明あり。
 櫻井 光政理事(二弁)から,基本的には現在の政治状況の中で「あれは悪い冗談だった」程度に風化させるのが一番いいのではないか,寝た子を起こす必要がないとの意見が出される。
以上

※この報告は、和田光弘(みつひろ)常務理事(新潟・33期)の正確な作業及び鈴木大祐(だいすけ)常務理事(東京・49期)の詳細なメモ(28枚)などに基づき、吉峯康博常務理事(東京)の責任でまとめた『速報』である。

(2009年11月5日記)


 
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