日弁連・理事会とは、何をするのでしょうか?(5)

日弁連・理事会とは、何をするのでしょうか?(5)




第5回日弁連・理事会(2009年8月20日・8月21日,於弁護士会館1701号)報告


今回は、少し遅くなりました。
是非参考にして下さい。


● 第1日目 2009年(平成21年)8月20日(木)午前10時45分〜17時頃

【1 会長挨拶】
 官庁の異動が多く挨拶が多かった。大韓弁協との交流により,日本との違いと問題点を改めて感じることができた。韓国改革により日本の先を行こうとして混乱を抱える面もある(隣接士業や法科大学院問題)。人口比で日本と同等の増え方(1000人)にもかかわらず,就職問題になっていない。検察,裁判,軍務で300人程度の採用があり,日本ももっと検察,裁判の採用を増やすべきと感じた。そのほか裁判員裁判の2件実施により,候補者の方の出席率など評価できる面もある。また国選弁護報酬のサンプル調査で過大請求6%ということから今後調査に協力せざるを得ない。

【2 報告事項1 会務報告の件】
 田中 等 副会長(一弁) (資料12の5)
担当業務の説明(推薦,選挙,非弁,経理,広報,修習など)
 日弁連市民会議(片山善博座長)を行ない,有識者・市民から日弁連の活動について意見をいただいている。これまでに,法曹人口や養成制度,取調べ可視化などを取り上げている。民事裁判費用の負担について,経済的な中間層の負担が重いのではないかとの指摘も受けている。

【3 法的サービス企画推進センター本部会議】
小林優公(まさひと)副会長(群馬)
出井(いでい)直樹務局長,飯田隆副本部長,藤原靖夫研修・業務支援室嘱託(議題資料,当日配布資料)
◎修習生就職支援
現行62期修習生就職未定者84名(現264名及び新61期不合格者113名中,296名内定)
新62期は未定率24.4%,329名が未定。昨年の同時期17%と比較して,厳しい状況。ただ,東京,大阪で140名が希望し,修習地で80名が希望しているので,各単位会での努力をお願いしたい。法科大学院関係者との懇談会(8.28),東京・大阪での就職説明会,即独者への支援(大阪の新人独立弁護士指導委託制度など),組織内弁護士についてのキャラバン(札幌・仙台)などを予定。
 山根祥利(よしかず)理事(東京)から本当は東京に就職したい修習生相当数居ると思われるが,8月28日以後の取り組みはどうかという質問(法科大学院との取り組みは初めてで個人的な人脈に期待・急な改善は期待していない)や木津川迪洽(きつかわみちひろ)理事(一弁)から組織内弁護士の企業にとって具体的なメリットは何かについて日弁連のプレゼンが必要との指摘(プレゼンの仕方がむずかしい)がなされる。
★ この後,議題資料の22−2をもとに,「組織内弁護士」推進の射程をどう考えるかについて議論。資料中に6分類の提示。弁護士登録のある会員のうち,新規登録弁護士が法務部の未成熟な企業に就職する場合について懸念が示される。弁護士登録がない場合の推進については検討課題。
★ また,中小企業支援についても議論あり。特にコールセンター構想については,中央で一括するのではなく,地域が受け取れる構想を検討中。11月までには整理する予定。

【4 意見交換2 国際裁判管轄法制に関する要綱中間試案についての意見案の件】
畑 守人副会長(大阪)(資料52の3,資料52の3の1の2〜3の2)
説明協力者=鈴木五十三(いそみ)国際裁判管轄規則の法令化に関する検討会議座長(二弁),出井(いでい)直樹同委員(二弁)
国際裁判管轄については,法律も条約も慣習もなく,その法制化に向けて法制審議会に意見を述べることとしている。中間試案としては,7点あるが,主に,管轄合意,消費者契約に関する訴え,労働関係に関する訴え,国際訴訟競合の4点が問題となっている。消費者,労働者にとって問題がないかという視点で管轄合意の効力について意見が分かれる。(資料52−3−2が要点の資料)
 半田 稔 理事(山形県)から管轄合意についての質問,水口(みなぐち)洋介理事(二弁)から労働事件の管轄についての質問,永井哲男理事(釧路)から住所地概念についての質問などあり。鈴木五十三座長から住所地は日本民法同様の回答。
  ★一言コメント:鈴木五十三座長は,二日間とも出席され,極めて難しい論点についてレベルを下げず平易に解説されました。ご苦労様でした!!

(昼食)再開後,丸島俊介事務総長から,各政党による政策秘書の募集について情報提供。

【5 報告事項10 拘置所における未決拘禁者と弁護人等との電話による外部交通,刑事施設等における未決拘禁者と弁護人とのファクシミリによる通信及び警察署の被留置者と弁護人等との電話連絡の件】
細井土夫(つちお)副会長(愛知県)(資料19の10の2)
説明協力者=水野英樹(みずのひでき)刑事拘禁制度改革実現本部事務局次長(二弁)
電話による外部交通,ファクシミリによる通信の現状について報告。
 小出重義理事(埼玉)からファクシミリ通信の危険性についての指摘(被疑者・被告人欄の無警戒な記載を誘発する)や村井豊明理事(京都)から実施の遅れについての指摘あり。

【6 審議事項8 人権のための行動宣言2009案の件】
藤本 明 副会長(札幌)(資料42の7〜7の2=事前送付,資料42の7の3)
説明協力者=村山晃(あきら)新たな「人権のための行動宣言」検討委員会委員長(京都),石田法子(のりこ)同副委員長(大阪),市川正司(まさし)同副委員長(一弁),小林七郎(しちろう)同事務局長(東弁),海老原信彦同事務局次長(東京),茂木鉄平(もぎてっぺい)同事務局次長(大阪),千木良 正(ちぎら ただし)人権救済調査室室長
今回は頭だし。99年の人権のための行動宣言は司法改革と一体となっていたが,今回はあらためてこれまでの到達状況をふまえて「人権のための行動宣言2009」というネーミングで出す。人権の序列をつけたものではなく,差別・少数者の人権,刑事,思想・表現の自由,平和,国際人権保障システムなどの分野にわたり,今後は普及・点検にも力を入れる。
 黛 千恵子理事(福井)から子どもの権利に関し,成長発達権は少年司法のみにしぼられるわけではないとの指摘,小出重義理事(埼玉)から,〃沙事件の身柄不拘束の原則に則して23日間の短縮問題,∈枷衆制度の問題点記載不十分,死刑存廃に関して死刑囚の現在情報の提供不十分などの指摘,金子武嗣(たけし)理事(大阪)から,10年前の決議の制定過程が不透明,総論部分が不十分,将来の私たちがどのように使いこなすべきか,めざすべき課題の整理が必要などの意見,再度,小出重義理事(埼玉)から,憲法9条2項の堅持が重要との指摘(会内合意の到達点に基づく旨の回答),櫻井光政理事(二弁)から,死刑については廃止こそ正義にかなう,国際的潮流からしても死刑は人権侵害との立場を明らかに廃止を求めよとの意見,再度,小出重義理事(埼玉)から「法の支配」概念の正しい使用をとの意見,月山純典(じゅんすけ)理事(和歌山)から,接見交通権の確立のための記述を盛り込む,インターネットの弊害は除去すべしを明確に,裁判員制度の記述をきちんとされたい,など指摘がなされる。
★一言コメント:09年9月4日の日弁連正副会長会議で,行田(こうだ)副会長,東澤靖日弁連国際人権問題委員会委員長,海渡雄一同副委員長などが,素晴らしいプレゼンテーションをされ,『コングレス』(国連犯罪防止刑事司法会議,2010年4月11日〜19日 於ブラジル・サルバドル)の日弁連代表団派遣などが承認されました。『人権のための行動宣言2009案』も,『コングレス』への出張に,相当関係があります。
即ち,5.監視社会下の阻止,個人情報保護や行政情報開示の徹底「犯罪対策やテロ対策の名の下に,国などが・・・市民への監視を強めることに対し,人権保障の視点からその適法性を吟味し,事由ですべての人が強制する社会の確立を目指す」,6.憲法と国際人権法の人権保障の基準に見合った刑事司法の実現(取調べ可視化,代用監獄の廃止,全面的公的弁護制度など),7.個人の尊厳に立脚した行刑制度改革を進める(刑事施設委員会活動の強化,刑務所の医療や処遇改善)です。

【7 審議事項9 第52回人権擁護大会宣言案の件】
有田佳秀副会長(和歌山)・藤本 明 副会長(札幌)(資料43の2〜2の3,資料43の2の4〜2の5)
今年の和歌山人権大会に5本の宣言案を準備中。次回までにご検討を。
(1)「人権のための行動宣言2009」のもと人権擁護活動を一層推し進める宣言(案)
説明協力者=石田法子(のりこ)第52回人権擁護大会運営委員会委員長(大阪),村山晃新たな「人権のための行動宣言」検討委員会委員長(京都),市川正司(まさし)同副委員長(第一東京),小林七郎(しちろう)同事務局長(東京)
 武井共夫理事(横浜)から消費者の権利と医療を結びつける点に疑問(切り離す旨の回答)あり。
(2)表現の自由を確立する宣言〜自由で民主的な社会の実現のために〜(案)
 説明協力者=石田法子第52回人権擁護大会運営委員会委員長(大阪),二瓶和敏(にへいかずとし)同大会シンポジウム第1分科会実行委員会委員長(東京),佃 克彦(つくだかつひこ)同実行委員会事務局長(東京),日隅一雄(ひずみかずお)同実行委員会委員(二弁)
 高崎 暢(とおる)理事(札幌)から,青法協の集まりに対する宿泊者調査の指摘をすべしとの意見,村井豊明理事(京都)から住居侵入・ビラ入れ問題の指摘も重要との意見。そのほか,月山純典(じゅんすけ)理事(和歌山)からビラ配布とインターネットの弊害問題,我妻 崇(わがつまたかし)理事(仙台)からインターネット問題の局面は名誉・プライバシー問題との調整との指摘,武井共夫理事(横浜)からインターネットの言論の質の問題について意見あり。
(3)地球温暖化の危険から将来世代を守る宣言(案)
説明協力者=石田法子第52回人権擁護大会運営委員会委員長(大阪),樋渡俊一(ひわたししゅんいち)公害対策・環境保全委員会委員長(東京)
村井豊明理事(京都)から宣言第2項の再生エネルギーの拡大の根拠についての質問(資料5頁にヨーロッパの目標記載あり),荒川誠司理事(茨城県)から原発依存と温室効果ガスとの増加について質問(直接の因果関係を述べているものではない)などあり。宮崎誠会長から,発表時点での政治状況を反映した宣言を,との注文あり。
(4)消費者被害のない安全で公正な社会を実現するための宣言(案)
説明協力者=石田法子第52回人権擁護大会運営委員会委員長(大阪),坂 勇一郎(さか ゆういちろう)同大会シンポジウム第3分科会実行委員会委員長(二弁),中村忠史(ただし)同実行委員会事務局長(東京)
 武井共夫理事(横浜)から,消費者庁のみの記載ではなく消費者委員会もセットにした記載をとの指摘(そのように記載を訂正する旨回答),山下哲夫理事(広島)から,5つも宣言が必要かとの疑問あり(石田委員長としては,やむなし,タイミング重要との意見)。
(5)取調べの可視化を求める宣言−刑事訴訟法施行60年と裁判員制度の実施をふまえて−(案)
説明協力者=石田法子第52回人権擁護大会運営委員会委員長(大阪),幣原 廣(しではら ひろし)同大会運営委員会委員(二弁)
 村井豊明理事(京都)から,オバマ大統領の一部録画はだめとの指摘を明確にとの意見,黛 千恵子理事(福井)から「全面的録画」の使用はとの提案,佐野義房理事(千葉県)から起訴前保釈の挿入をとの意見あり。
★一言コメント:全て,中身の濃い『やり取り』でした。第52回人権擁護大会シンポジウム及び人権擁護大会(09年11月5日(木)・6日(金)於和歌山市)本番も,楽しみです!!

【8 審議事項7 法科大学院の認証評価基準改定についての意見案の件】 
武井康年副会長(広島)・塚本 侃(つよし)副会長(熊本県)(資料34の4)
説明協力者=山口卓男法科大学院センター事務局長(東京)
法科大学院の評価にあたって考慮すべき8項目を指摘。科目のバランスとともに,司法試験に偏らないことや文章作成能力(ただし法律的文章の意味)の指導も指摘。承認。

【9 審議事項1 弁護士過疎・偏在対策のための特別会費徴収の件中一部改正の件】
山岸憲司副会長(東京)・細井土夫(つちお)副会長(愛知県)(資料5の5,資料5の5の2)

【10 審議事項3 弁護士偏在解消のための経済的支援に関する規則中一部改正(対象地区要件拡大)の件】
細井土夫副会長(愛知県)・塚本 侃(つよし)副会長(熊本県)(資料33の3(再配付))

【11 審議事項4 弁護士偏在解消のための経済的支援に関する規則中一部改正(特別独立開業支援新設)の件】
細井土夫副会長(愛知県)・塚本 侃(つよし)副会長(熊本県)(資料33の3の2)

【12 審議事項11 「日弁連ひまわり基金」支出に関する規則中一部改正の件】
細井土夫副会長(愛知県)・塚本 侃(つよし)副会長(熊本県)(資料33の5)
説明協力者=太田治夫(はるお)日弁連公設事務所・法律相談センター委員長兼弁護士過疎・偏在対策のための基金と特別会費のあり方検討ワーキンググループ副座長(東弁),秋山清人(きよと)日弁連公設事務所・法律相談センター副委員長(二弁),田岡直博事務局長(二弁)
特別会費を1400円から700円にした上で,平成22年4月から25年3月まで徴収する。承認
 春名一典理事(兵庫県)から,ひまわり基金による事務所運営の事件数などの情報提供について質問(個別情報でない形式・全体数などで発表している),三木正俊理事(札幌)から延長に賛成・しかし700円の根拠は大丈夫かとの質問(資料中5−5の21頁に計算根拠)などあり。
 この後,高崎 暢(とおる)理事(札幌)から過疎対策に対する日弁連の基本スタンスをどのように考えているのかについて,名古屋宣言をふまえれば第一次的責任は法テラスではなく日弁連にあり,たとえ赤字を覚悟しても過疎解消に努力する姿勢を堅持できるのかという,理事自身の主張をふまえた議論がなされる。細井土夫(つちお)副会長(愛知県)としては,法テラスの個々のスタッフは活躍しており,否定はしないが高崎 暢(とおる)理事(札幌)が言うように赤字でもひまわり公設事務所を出すと言うところまでは合意できていないとの回答。高崎 暢(とおる)理事(札幌)は,個々のスタッフの問題ではなく,組織の問題として,法テラスではなくあくまで日弁連主導による過疎解消をせまる。一方,小出重義理事(埼玉)からは,憲法上の裁判を受ける権利の保障・弁護人依頼権の保障は第一次的に国の責任であり,日弁連の「責務」と言う考え方はどうかとの意見あり。細井土夫(つちお)副会長(愛知県)としては,制度・資金は国,人は弁護士会という整理をしているが,双方の意見があるものと承知している旨の回答。
 宮崎 誠 会長からは,双方の立場を主張してきた歴史的経過もあり,現状を維持しつつ展開していくとのまとめあり。

【13 審議事項12 予備費取り崩しの件】
田中 等 副会長(一弁) (資料54の2)
 弁護士業務妨害対策シンポのための予算取りを予備費から行なうもの。承認。

【14 審議事項13 平成21年度日弁連・弁護士会永年勤続職員表彰の件】
丸島俊介事務総長(東京)(資料67の3)

【15 要請事項1 全国一斉「コンビニフランチャイズ問題110番」の件】
藤本 明 副会長(札幌)(資料44の4)

【16 要請事項4 日弁連創立60周年記念式典の件】
山岸憲司副会長(東京)(資料66の4)

【17 審議事項6 「司法修習生修習資金の貸与等に関する規則(案)」に対する意見書案の件】
田中 等 副会長(一弁) (資料34の3の3,資料34の3の4)
最高裁判所の貸与規則について,修習委員会とも協議の上,意見を出すことで準備した。保証人や損害金など訂正を求めていく。
なお,金子武嗣(たけし)理事(大阪)から,修習委員会の委員長として,補足的に,基本的には貸与性に反対することを総論に盛り込み,これを様々な視点から論じた上で,さはありながらも,このままでは最高裁の規則がひどいまま制定されることを防ぐために今回の意見書を作成している,との報告。承認。
 佐野義房理事(千葉県)から貸与を認めることには忸怩たるものがあり,たとえ実施されてもこれを覆す運動を組織すべきではないのか,対策本部を作るなどして取り組んで欲しいとの意見,小出重義理事(埼玉)からも5年もの間,戦わなかったことが問題などの意見あり。池永 満 理事(福岡県)から,今回の選挙に関連して見直しをするよう候補者に文書を送付しているとの報告,金子武嗣(たけし)理事(大阪)からも政権交代を転機に新たな働きかけを考えたらどうかとの意見あり。

【18 審議事項2 会則中一部改正の件】
田中 等 副会長(一弁)(資料5の6〜5の6の3)
アンケート状況の報告。沖縄・玉城理事から沖縄の回答について補足。

● 第2日目 2009年(平成21年)8月21日(金)午前10時〜午後5時頃

【1 多重債務対策本部第5回全体会議】
藤本 明 副会長(札幌),新里宏二(にいさとこうじ)事務局長
改正貸金業法早期完全実施への取り組み,セーフティネット貸付の整備に関する要請の件,債務整理事件の指針の発表などについて報告。新里事務局長からは,「衆議院議員選挙立候補者のアンケート調査(弁護士会ではなく,市民団体で実施)をしたが,ほぼ賛成であった。」との説明もあった。
 各地の理事(小出重義(埼玉),櫻井光政(二弁),矢吹公敏(東京),黛 千恵子(福井),原 章夫(長崎県),鈴木克昌(かつよし)(群馬),山下哲夫(広島))から,債務整理指針に反する弁護士の活動の報告(埼玉/過払いのみ広告で集めてやる,福井/面接せずに宅配便で委任契約を送る,長崎/退会弁護士が非弁組織と連携して活動している模様,広島/新人弁護士が債務整理専門の司法書士事務所アクティブイノベーションと連携して登録)や調査のあり方(二弁/いかがわしい仕事をしている会員の名前と活動を集約すべし,東弁/債務整理指針を活用できないのか,群馬/多重債務漁りを重点的に調査する体制をとっている)について,意見が相次ぐ。新里宏二事務局長も早急に情報集約の体制を整備することを確認。なお,永井哲男理事(釧路)から,懲戒をすすめているうちに被害が拡大するおそれがあるので,是正指導の取り組みを強めるべしとの意見が出される。
★一言コメント:多重債務事件漁りと思われる弁護士事務所は電話帳やテレビ広告など特定の会員であることは調査によって容易に判明する可能性が十分ある。単位会を超えた活動をする以上,日弁連レベルで,もう少し具体的に調査対象を絞り,きちんと対応すべきだろう。

【2 消費者行政一元化推進本部】
藤本 明 副会長(札幌),中村雅人(まさと)本部長代行,石戸谷 豊(いしとやゆたか)事務局長
現在までの状況報告。すなわち,中村雅人本部長代行は,『参与会』(3回目から6回目−8月26日まで)の様子を報告され,「消費者委員会は,9月1日に発足しますが,公開の場で第1回をします。山王パークビルの6階に入ります。消費者委員会委員長選任以下を行います。」との説明がありました。石戸谷事務局長は,「単位会会長声明は,17箇所から発表されました。大変ありがたい。地方消費者行政の課題もふくめて資料中の「Q&A」の活用をお願いしたい。」と発言されました。
 東(ひがし)隆司理事(岡山)から岡山会での決議の指摘。村井豊明理事(京都)から京都での基金活用事例の報告(府との間で,相談助言弁護士の業務委託契約の締結や9月19日のシンポ)。ほかに消費者委員会人事をめぐる対応について質問あるも,現状では8月26日の参与会で議論の上,決定する見込み。現段階は白紙状態。なお,任期付公務員に大阪弁護士会から採用見込み。日弁連からも職員派遣。

【3 報告事項5 死刑執行停止に関する要請の件】
細井土夫(つちお)副会長(愛知県) (資料20〜20の2,資料20の3)
説明協力者=小川原優之(おがわらゆうじ)日弁連死刑執行停止法制定等提言・決議実現委員会事務局長(二弁)
小川原事務局長から,日弁連が人権NGOとして死刑執行停止実現に向けて動くべき時であり,具体的な行動提起として ̄撚茵峙找法廚両絮如き▲謄譽咼疋薀泙両絮如き裁判員裁判での死刑適用での慎重審理として全員一致制へなど。なお,飯塚事件(DNA鑑定を決め手に死刑判決/執行)の弁護交流集会も予定。
 櫻井光政理事(二弁)から,死刑は「存廃」の議論ではなく,「廃止」の議論に踏む込むべき,感情論としての死刑の捉え方から人権としての死刑廃止に舵を切るべきとの意見,金子武嗣(たけし)理事(大阪)からも,死刑執行停止にまとめあげることでやっとだった過去の経緯から今後どこまで踏み込んでいくのか,政権交代もにらんだ対応が必要との意見あり。和田光弘理事(新潟)からも,新潟会での総会決議の経過と内容を紹介・報告し,弁護士こそ,死刑廃止に向けた取り組みをきちんと行なうべしとの意見。
★一言コメント:。腺贈繊癖胴駛〜盒┣顱砲蓮つ糠に亘って,『法教育の実践』と並んで,『死刑廃止の運動』(子どもたちへの働きかけを含め)を,最大の課題としています。日弁連はそろそろABAを見習うべきではないでしょうか。日本は平安時代を含め,数百年の間,『死刑』を事実上停止していたという世界で類例のない誇るべき歴史があります。この歴史的事実自体を,日弁連・各単位会は,市民に知らせる義務があると私は考えます。

【4 審議事項10 全国学力・学習状況調査における個人情報保護についての意見書案の件】
塚本 侃(つよし)副会長(熊本県) (資料56の3)
説明協力者=三宅 弘 情報問題対策委員会委員長(二弁),齋藤 裕(ゆたか)同事務局長(新潟県)
学力・学習状況調査による解答用紙,調査結果,個人票などの個人情報の廃棄を求める。本来,学力調査そのものに反対した経過はあるが,現実になされた後の記録の保管も問題が多く,意見書として出す。「保管の必要性」がある場合の管理の適切さも加えて,修文込みで承認。
 櫻井光政理事(二弁)から,学力調査に反対することとその結果の個人情報の廃棄とは問題が違うはずであり,教育指導に必要な情報として保管を認めるべき場合もあるので,意見書の趣旨に違和感があるとの意見。齋藤 裕 事務局長から問題のある保管形態は許されないのではないかということと,三宅 弘 委員長からは必要な専門家としての情報確保は別個に保存するなどの方法で足りるのではないかとの意見あり。結局,教育情報の必要性と指導への有益性について専門家判断をどうするかという問題。
 東島浩幸理事(佐賀県)や半田 稔理事(山形県)からも,企業情報の問題や保管の必要性の判断者などの指摘があり,保管をきちんと行なうと言う趣旨を盛り込むことで修文含めて承認。

【5 意見交換2 国際裁判管轄法制に関する要綱中間試案についての意見案の件】
畑 守人副会長(大阪)(資料52の3,資料52の3の1の2〜3の2)
説明協力者=鈴木五十三(いそみ)国際裁判管轄規則の法令化に関する検討会議座長(二弁),出井(いでい)直樹同委員(二弁)
 鈴木五十三座長から補足説明がなされ,特段の意見交換なし。

【6 意見交換1 弁護士と外国法事務弁護士の『混合法人』の設置に関する件】
川崎達也副会長(二弁)(資料51の1の6〜9)
説明協力者=出井(いでい)直樹外国弁護士制度研究会幹事(二弁)
資料51−1−9川崎メモに沿って,説明あり。外国法共同事業の必要性を示す事例(クロスボーダー取引の協同作業),混合法人の特質,混合法人の利便性と弊害,経営支配の問題など。出井(いでい)幹事から,51−1−8に基づき,バックアップ委員の3種の意見(消極/積極/中間)の紹介。
 日弁と外弁の共同組合方式による事業遂行が認められている現状で,単に「組合の法人成り」の問題なのかという点に議論あり。池永 満 理事(福岡県)からは混合法人のメリットは支店展開なのではないかと言う指摘あり。しかし,組合方式でもやり方によって支店展開は可能との説明。
 今川正章(せいしょう)理事(愛媛)から,ヨーロッパの巨大ローファームの進出で弁護士自治が崩壊したとの記事も記憶しているし,米国では半分の州が外弁を受け入れないという実態との報告もある,このまま混合法人を受け入れることは弁護士法1条の「人権擁護と社会正義の実現」というゆとりのない弁護士を増やすことにならないかという危惧が表明される。
 宮崎 誠 会長から,アメリカはそもそも資格がとりやすく外弁問題が発生しにくい(その州で資格を取れば済む),巨大ローファームによる自治問題は優れてイギリスの弁護士会の問題で直ちに他の国の弁護士会の自治の問題にはならない,との説明あり。
 山下哲夫理事(広島)から,混合法人によるクロスボーダー取引は必ずしも必要性はなく,現状の日本弁護士と組むことで可能であり,川崎達也副会長の説明は「企業」を「国民」としているもので受け入れ難い,将来の弁護士たちのことを考えれば,日弁が尊敬されて仕事を遂行するというプロフェッショナル性を保つためにはこれに反対するのが私の役割だとの意見。→再度議論をするとの確認。
★一言コメント:法務省は8月24日,日本の弁護士と外弁の両方で構成する『混合法人』の設立も認めることを打ち出す専門研究会の「中間取りまとめ」を公表しました。『混合法人』は,現在行われている外国法共同事業を法人化する形にし,外弁には日本法の法律事務への不当関与禁止を課します。同省では9月24日までに,弁護士などからの意見を募集します。しかし,弁護士自治を崩しかねないなど,『混合法人』創設に関する異論が根強いだけに,今後も大きな議論になります。

【7 意見交換3 裁判員制度に関する件】
山岸憲司副会長(東京)・武井康年副会長(広島)(資料18の1の15〜18)
説明協力者=小野正典裁判員本部本部長代行(二弁),幣原 廣(しではらひろし)同事務局長(二弁)
2件の裁判員裁判の情報を集約。資料18−1−16に概要を掲載,参考にして欲しい。弁護士会による傍聴確保が難しい状況・対外的に裁判所が説明できないとしている。ただし,埼玉では内々に処理して2席を確保している。検察庁も同様。公表しない前提で交渉することが重要。
 証拠調べの際に,乙号証不同意によって,被告人質問が検察官の主立証で行なわれることになり,この点は被告人の矛盾供述が先に出され,被告人にとって不利益。結論はいずれも重罰傾向あり。被害者代理人制度の影響か。また,弁護人の量刑意見,被告人の最終意見陳述は,裁判員たちが気にしているところであり,今後は積極的に考えるべきか。
プレゼンテーションはそれなりに努力している。ただし,実際の審理時間が短いことについて問題を感じている状態。音声認識システムは誓約書によって利用可能だが,ほとんど実用的ではない。
 小出重義理事(埼玉)から埼玉事件の報告あり。鈴木克昌(かつよし)理事(群馬)から無理由不選任の行使状況について質問あり。埼玉事件では行使したとの報告。
 なお,各地でメルマガに登録する会員を増やして欲しいとの要請あり(18−1−16,18)。

【8 国選弁護対応態勢確立推進本部全体会議(通算第31回)】
武井康年副会長(広島)
佐藤太勝(ひろかつ)副本部長,山口健一事務局長,栗山 学 報酬部会部会長
サンプル調査で約6%の過大請求が判明。124件中の8件。今後の調査に対応するしかない。

【9 報告事項9 国選弁護報酬の件】
武井康年副会長(広島)
 小出重義理事(埼玉)から,報酬調査を名目に法テラスが省令で調査対象を「その事務」という表現にしている,文言の変更を求めるか解釈を「報酬と費用」に限定するか努力すべしとの意見(武井副会長から法テラス側に文書での申し入れをしている旨回答),佐野義房理事(千葉県)から国選付添人の複数当事者間で謄写記録を融通した場合の謄写費用の補償についての質問(現行規定での補償は困難との回答)などあり。
 なお,佐藤太勝副本部長から当番弁護士が減少しない問題について,各地での取り組みなのでそれぞれ独自に工夫している,単位会によっては被疑者国選への誘導をするところもあるが,当番弁護士との制度趣旨の違いを重視し,これを積極的に行なっているところもあるとの報告。
 半田 稔理事(山形県)から,当番弁護士で出動後被疑者国選になった場合の初回接見が接見の回数に入らない問題が指摘される。運用によって,法テラス側から被疑者国選の指名打診があれば初回接見に含まれる場合の説明あり。
 さらに,被疑者国選は身柄拘束が前提となるため,処分保留で釈放された場合(示談未了),準抗告で勾留取消になった場合(村井豊明理事(京都)報告)などで被疑者国選が終了する場合の手当が問題となっているとの報告あり。
 また,新型インフルエンザの流行により,法テラス事務所閉鎖の場合の国選指名名簿の流用について検討中との報告あり。

【10 日本司法支援センター(法テラス)推進本部全体会議】
荒 中(あら ただし)副会長
山田庸男(つねお)本部長代行,小林元治(もとじ)副本部長,武藤 元(はじめ)事務局長,亀井時子法律援助事業対応チーム座長・民事法律扶助制度改革推進本部副本部長,彦坂浩一(ひこさかひろかず)日本司法支援センター対応室室長
司法支援センターの契約弁護士に関する審査付議事案の状況報告,委託援助事業の伸びによって独自財政が必要になっているものの,全体の贖罪寄付が落ち込んでいるとの報告。
 高崎 暢(とおる)理事(札幌)からコールセンターによる情報提供業務の一元化の動きについての質問(一つの試案として各地域事務所の意見照会をしているが,利用者の目線を重視し,重層的方法を配慮すべきで,効率のみを考えないと言う意見が多い。),小出重義理事(埼玉)から,民事法律扶助の案件で資力要件を満たすとして紹介を受けた弁護士が,法律扶助の資力要件にあたらないことが判明した後で,たらい回しを防ぐために「直受け」をやるのは問題だとの意見あり。山田庸男本部長代行は,大阪の場合,依頼者の意思を文書確認するようにしているとの説明。「民業圧迫」との小出重義理事(埼玉)の意見あり。

【11 再度混合法人の議論】
 高崎 暢(とおる)理事(札幌)から,前回理事会の議論の最後に,今後の議論の道筋を尋ね,わが国弁護士制度への影響を考えた場合,各単位会に再度の意見照会をするかどうかの確答を求めたつもりだが,との質問。これに対し川崎達也副会長(二弁)から,同理事の意見は弁護士制度の変容があるのではないかという意見と理解しており,これまでのところ,弁護士自治を中核とする制度への影響はなく,改めての単位会への照会は考えていないとの回答。高崎理事としては全く同感できないが,山下哲夫理事(広島)が述べたように,弁護士・弁護士制度への影響は大きく,これを認めることはできないとの意見を表明。
 池永 満 理事(福岡県)からは,弁護士自治の問題というよりも本音は資本の進出にあり,弁護士制度への脅威もあり得るが,巨大ファームのやり方で地域の弁護士が駆逐されることはないと思っているし,我々も対抗しうると思っているとの意見。矢吹公敏理事(東弁)からは,外弁と共同で事務事業を行っている日本の弁護士の数は400ないし500に達しており,外弁も350くらいまでに増えている現状で,弁護士の国際化を支援しないという選択はないのではないか,混合法人は認めた上で調査権の規定の活用などで対処できるのではないかとの意見。
 武井共夫理事(横浜)から,もともと昨年来の空中戦のような議論で分かりにくい上,今年の川崎達也副会長(二弁)の説明で少し分かりかけたが,積極的に認めるという姿勢はとりにくく,むしろ規制のことを打ち出す必要があると思うとの意見。櫻井光政理事(二弁)からは,企業法務や渉外業務の発展ぶりからして,弁護士の質は時代とともに変質していくものだし,法律的に問題がないのであれば,経済的合理性を認めるべき,それによる弁護士の仕事の開拓を期待できるし,制度の変更による弊害は合理的な規制を行なう方向で取り込み,日弁連全体の求心力を維持することを重視すべきだとの意見あり。金子武嗣(たけし)理事(大阪)からは,これで終わりと言うラインが見えず,ずるずると制度改革が行なわれることに信頼感がない,今後の展望をふまえて大方の理事の信頼を得るべきとの意見など。
 宮崎 誠 会長からは,日本の外弁政策は門戸開放を漸進的にやってきたために,日本国内の渉外事務所(言葉として問題はあるが「民族系渉外事務所」)が育ってきたという背景がある,その意味でうまくやってきた面もあることをふまえたらどうかとの意見。
 小出重義理事(埼玉)から今後の段取りについての質問があり,川崎達也副会長(二弁)が理事の意向をふまえた意見書を作成する見込みであることを確認して終了。
 
【12 要請事項2 事前研修の実施の件】
田中 等 副会長(一弁)・武井康年副会長(広島) (資料34の5)
 司法修習開始前に司法修習の全体像を把握してもらうためのミニ研修を11月に実施予定。

【13 要請事項3 地域司法計画策定等の件】
山岸憲司副会長(東弁)・塚本 侃(つよし)副会長(熊本県) (資料36の2)

【14 報告事項11 債権法改正の件】
畑 守人副会長(大阪)
 9月7日にシンポ開催予定。労働契約,損害賠償など。

【15 報告事項12 戸籍謄本等取得に関する本人通知制度に関する申入書の件】
小林優公(まさひと)副会長(群馬) (資料32の3)
大阪府の自治体で一部制定し,密行性のある弁護士による手続行使に障害のでるおそれあり。現状のところ,問題は発生していないが,広がらないように意見を出す必要がある。

【16 審議事項2 会則中一部改正の件】
田中 等 副会長(一弁) (資料5の6〜5の6の3)
若干の意見交換を経て,個別に採決可決。
以上

※この報告は、和田光弘(みつひろ)常務理事(新潟・33期)の正確な作業及び鈴木大祐(だいすけ)常務理事(東京・49期)の詳細なメモ(36枚)などに基づき、吉峯康博常務理事(東京)の責任でまとめた『速報』である。

(2009年9月4日記)


 
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